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それからのこと。
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しおりを挟む家に帰った私たちは、無事終えられたことを祝い、三匹でささやかなパーティーをすることにした。
テトは「おおきなさかな、つってくるからね!」と近くに川に向かった。私とジルは、スープやサラダの準備をしながら、テトの帰りを待つ。
「きゃ!ジル……!」
急に、野菜を洗う私を、ジルが後ろから抱きしめてきた。
「悪い……このまま聞いてくれ。」
「ジル?」
「ロバートが、色々と手を打ってくれていたが、サチを王宮に取られるのではないか気が気ではなかった。」
「ご、ごめんね。」
ジルの顔は見えないが、頭を振ったのが分かった。
「いや……サチの選択が正しいことは分かっている。相手が誰であれ、助けたい、と思えるサチだからこそ、俺たちも力になりたいと思える。」
「ありがとう。」
「……あの部屋に入った時、不安になったんだ。」
「不安?」
「もし、最初にサチが王宮に保護されていたら、サチはあんな広い部屋に住めたんだ。マーネ殿下は兎も角……他の王族と結婚だって出来たかもしれない。こんな小さな家で暮らさなくても……。」
「ジル!」
苦しそうに紡がれた、ジルの言葉に、私は割って入った。くるり、と体の向きを変え、ジルと向かい合って密着する形になる。私は、真正面からぎゅっと抱き着いた。
「……サチ。」
「私は、ずっとここにいたいの。ジルとテトと暮らしたい。ジルとテトが、私にたくさんの思いをくれたから、私も誰かを助けたいって思えるの。」
「サチ。」
ぎゅっと抱きしめ返され、私はドキドキしながらも幸せだった。「サチから抱きしめてくれたの、初めてだ。」と耳元で囁かれ、私の胸はぎゅっと掴まれたようだった。
「……ジル、だいすきだからね。」
「……っ、あまり、煽るな。」
その後、テトが帰って来て「もう!ふたりともふけつ!」とプリプリ怒られるまで、ジルと抱き合っていた。
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