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しおりを挟む「問題とは何でしょうか。」
アンの問いに、ギルバートは冷静に無駄の無い説明をした。
現在存在している聖女は二十名ほど。その全員が貴族だという。貴族の場合、自身の家で雇っている護衛もいるので、王宮からの派遣も少なくて良い。だが、アンの場合はそうはいかない。
「他の聖女より多く護衛を派遣できるよう申請する。おそらく問題ないだろう。問題は、アン。お前の力が強すぎるということだ。」
「へ?」
先程グレッグとロナルドが勝手に行った検査の用紙をジェフリーが広げる。
「今いる聖女たちの何十倍もの力があるようです。だから神殿も魔術協会も、週一回・半日でも喜んで受け入れたんだと思いますよ。少し来てくれるだけでも、十分すぎる戦力になるから。」
「そ、そんな・・・。娘は大丈夫なのでしょうか。悪い者に狙われるようなことがあったら・・・」
「護衛の増員で防げるとは思います。ただ、逆に小さな悪事だと護衛では防げないのです。」
トーマスの必死の言葉に、ジェフリーが優しい口調で話し始めた。恐らくギルバートが説明すると、トーマスがそろそろ気絶することに、これまでの経験により気付いたからだ。
「誘拐や組織的な犯罪の場合、護衛がすぐ気付き対応しやすいんですよ。しかし、小さな悪事・・・例えば知人から癒しの力を依頼された場面で、聖女は困っているんだと思って助けに行く。だけど、実はその知人が悪人で、聖女が帰った後で法外な金銭を受け取る、なんて事例はいくらでもあります。しかも護衛も、聖女の知人だと思っているから気付きにくいんです。」
これには、アンですら顔を青くした。今まで仲の良かった人を、これからは疑ってかからないといけない、ということだ。
「だから、先程話した、監察官面接の頻度を増やした方が守りやすいと考えています。」
「監察官面接?」
聖女たちは、監察官による面接を定期的に受けている。何か困ったことはないか、怪しい人間が接触していないか、確認し聖女を守るためだ。そして業務以外で使用した癒しの力を申告する必要がある。これも聖女が知らぬところで、力を不正に悪用されていないかを調べるためだ。アンは他の聖女と違い、平民なので余計に悪人が接触しやすい。
「週三回、監察庁に来て面接を受けてほしい。」
「週三回・・・多いですね。」
鬼のようなギルバート相手に正直すぎるアンを見て、トーマスは慌ててアンに言い聞かせた。
「仕事はいいから行きなさい!アンを守る為なんだから!」
「そうそう。最初に言ったようにアンちゃんの代わりに働く護衛も確保するし、パン屋さんに迷惑をかけないようにするよ?」
「あの~それでしたら・・・。」
アンのとんでもない提案に、とうとうトーマスは気を失ってしまった。
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