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怒りたいときは怒りましょう
しおりを挟む(やっぱり失敗だったかなぁ)
手芸教室中、ずっと先程のお茶のことがぐるぐると頭を回ってしまう。あの後、軽トラの中で、必死に空気を変えようとあれやこれやと話しかけてはみたものの、雅也さんの反応はいつも以上に悪かった。
(もっと仲良くなりたいだけなのになぁ。何で上手く出来ないんだろう)
恋愛偏差値ゼロの自分に不満が募ってしまう。モヤモヤが増幅していく。
「・・・い、おい、もう終わってるぞ」
「ひゃぁ!」
いきなり横から雅也さんの声がして驚きの声を上げてしまう。周りを見ると、もう他の生徒さんはおらず、いつの間にか手芸教室は終わっていたようだ。
「瑞樹ちゃん、今日は何だか上の空だったわね。珍しいわ。」
悦子さんが心配そうに顔を覗き込む。
「す、すみません・・・」
「ううん、そんな日もあるわ。雅也だって、今日来ていた若い子と仲良くお喋りしていたでしょう。珍しいこともあるわ、と思ったの。」
若い子と仲良くお喋り・・・。
「・・・そうですか。」
「笑ったりして。私だって雅也が笑っているところなんて数十年見てないわよ。」
おどけて話す悦子さんに返事をしたいのに、上手く笑うことができない。つい横にいる雅也さんの表情を見てしまうが、いつもと何も変わらない。意識しているのが自分だけだと思うと怒りが沸き、自分の体から冷気が出るのを感じた。
(何よ!私とはお茶もしてくれないのに仲良くお喋りって)
(私だって笑ってるところ、ほとんど見てないのに)
(いっつも私ばっかり話しかけてるのに)
(勘違いじゃない、って言ったのに)
怒りはだんだんと悲しさに変わり、涙が込み上げてしまう。私だけ、想っているようで悔しくて、寂しくて。行きよりも、更に重たい空気が車内に充満していた。
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