やさしい異世界転移

みなと

文字の大きさ
26 / 266
第1章 転移!学園!そして……

【25話】 その後

しおりを挟む
 見知らぬ天井だ。

 と目を覚ました俺はありきたりな感想を抱いたがすぐさっきまでの出来事を思い出していた。
 先程まで俺は、中庭でレイナの魔力暴走を止める為にあの吹雪に入ってそして……

 そうだレイナ!
 レイナの安否が気になった俺は体を起こす。

 体を起こして辺りを見回した。
 どうやらここは中庭じゃなく、何かしらの部屋のようだ。
 見た事ない場所だったが、見ただけでここがどんな場所かわかった。

 白いベッド、薬品の入った棚どうやらここは医務室とかなのだろう。
 行った事が無かったがこんな感じなのか、元の世界とはそう変わらない感じなんだな。

「もう起きたのかい」

 俺は部屋にいた人物に気付いた。
 椅子に座り、机に肘をついている人は白髪でシワシワの年老いた女性だった。
 どうやらこの人が、この学園の保健師のようだ。

「まったく無茶な事したね、あと少しあの吹雪の中にいたらアンタ死んでたよ」

 保健師の人は強い言い方で俺に言う。
 確かに無茶な事だったし、死んでいてもおかしく無かったから、まぁ反論は出来ないな。

「デイのおかげで助かりましたよ。そんな事よりも、俺以外にもここに運ばれた人がいると思うんですけど、その人達は大丈夫だったんですか!?」

 俺はレイナとユイン達の安否を聞いた。
 周りを見渡しても、俺とこの保健師さん以外は誰もいなかったからだ。

「アンタより怪我が酷い娘はいなかったよ。黄色い頭の子が連れて来た2人は本当に軽い怪我程度だし、アンタと一緒に運ばれた娘は腹部の刺し傷を魔法で凍らせてたみたいでそんなに重傷じゃなかったよ。」

 保健師の人は俺に他の3人の怪我の具合を教えてくれた。
 とりあえず酷い怪我をしている奴はいないようで安心する。

「そうですか、みんな無事ならよかったらです。それじゃあ俺も帰りますね。」

 俺は近くにあった窓の外を見て、今の時間が大体夕方だと気付き自室へと帰ろうとする。

「わかったよ、わたしの魔法であらかたアンタの処置は済んでいるから、もう大丈夫な筈だからはやく帰りな。」

 保健師に人は帰って良いと許可してくれた。
 その保健師の人に言われて、俺が怪我してた事を思い出した。
 そういえば確か結構体がボロボロになっていた気がしたが、まぁこの保健師の魔法で治ったって言うんだから気にする必要はないか。

 俺は自分の部屋へと帰ろうとして保健室の扉へと向かう。
 扉へ向かう途中、保健師の人を通り過ぎた瞬間俺はふと思い出したかのように保健師の方を振り返った。

「そうだ、名前まだ聞いていませんでしたね。聞いてもいいですか?」

 そういえば名前を聞いていないなと思い、俺は保健師の方を振り返って聞いた。

「!?……まったく、人に名前を聞く時はまず自分から名乗りな。」

 保健師の人は俺が振り返った瞬間、ビクッと体が動いてそれと同時にガサガサッと袋が擦れる音が聞こえた。
 よく見ると、その保健師の足元に隠すように袋が置いてあるのが見えた。
 中に入っているのは紙だろうか、何か書いてあるのはわかったが、ここからでは見えない。

 袋は気になったが、それはそれとして俺は保健師の人の言葉に答える事にした。

「す、すみません。俺の名前はユウト・シンドウって言います。」

 俺は保健師の人に言われた通り、自分の名を名乗った。

「それでいいんだよ、わたしの名前はチユ・ナオシってんだい。」

 少し微笑んで、チユさんは自分の名前を名乗った。

「ありがとうございましたチユさん。それじゃあまた。」

 名前を聞いた俺は感謝の言葉を述べて、保健室を出ていった。


「ふぅ……あの子大丈夫かね。」

 優斗が出ていった保健室でチユは袋の中を見ながら呟いた。
 その袋に入っていた紙に書いていたのは、優斗に対しての数々の罵倒の文字だった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

異世界サバイバルゲーム 〜転移先はエアガンが最強魔道具でした〜

九尾の猫
ファンタジー
サバイバルゲームとアウトドアが趣味の主人公が、異世界でサバゲを楽しみます! って感じで始めたのですが、どうやら王道異世界ファンタジーになりそうです。 ある春の夜、季節外れの霧に包まれた和也は、自分の持ち家と一緒に異世界に転移した。 転移初日からゴブリンの群れが襲来する。 和也はどうやって生き残るのだろうか。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

処理中です...