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良薬は口に、苦すぎる②
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「暴れるんじゃないわよ、小娘!
まったく……今の私はアンタよりもか弱くて非力なんだから、おとなしくしててちょうだい!」
小声ながらも、しっかりちゃっかりまたしても嫌味を言われてしまった。
「……私だって、やれば出来るもん」
ボソボソと、言い訳のように口にした言葉。
だけどリリィは小馬鹿にしたようにフフンと意地悪く笑い、期待しないでおくわとだけ答えた。
***
「さて、着いたわ。
ここが意識のないレイチェルがいるっていう、医務室みたいね」
緊張したような面持ちで、リリィは言った。
「ところでその、怪しげな薬は何なの?
まさかそれを掛けたら、壁とかドアをすり抜けられるようになる……とか?」
ちょっとワクワクしながら聞いた。
なのにリリィは心底呆れたようにこれ見よがしに大きなため息をひとつ吐き、告げた。
「そんなワケ、ないでしょう?
これは吹き掛けられた相手の時を、十分間程度奪えるらしいわ。
って言っても、時を止めたり出来るとかではないから、立ったまま寝ちゃう感じに近いかしら?」
馬鹿にした様子で言われたが、どちらも魔法みたいなモノではないか。
……なんとなく、納得がいかない。
だけどこれがあれば、楽々室内に侵入出来そうね。
「じゃあ、行きましょうか?
とりあえずドアの前に立っている、そのふたりの騎士の意識を奪っちゃいましょ」
言うが早いか、怪しいスプレー瓶を男達に向け、情け容赦なくプシューとぶっかけた。
そんな風に、姿の見えない相手にいきなり奇襲攻撃を仕掛けられたモノだから、いかに勇敢な騎士でも敵うはずもなく。
……一瞬視線をさ迷わせたかと思うと、ドロンと虚ろな目をしたままふたりの騎士はパタリと雑談を止め、無言のままその場に、まるで生きたまま固められた蝋人形みたいに立ち尽くした。
まったく……今の私はアンタよりもか弱くて非力なんだから、おとなしくしててちょうだい!」
小声ながらも、しっかりちゃっかりまたしても嫌味を言われてしまった。
「……私だって、やれば出来るもん」
ボソボソと、言い訳のように口にした言葉。
だけどリリィは小馬鹿にしたようにフフンと意地悪く笑い、期待しないでおくわとだけ答えた。
***
「さて、着いたわ。
ここが意識のないレイチェルがいるっていう、医務室みたいね」
緊張したような面持ちで、リリィは言った。
「ところでその、怪しげな薬は何なの?
まさかそれを掛けたら、壁とかドアをすり抜けられるようになる……とか?」
ちょっとワクワクしながら聞いた。
なのにリリィは心底呆れたようにこれ見よがしに大きなため息をひとつ吐き、告げた。
「そんなワケ、ないでしょう?
これは吹き掛けられた相手の時を、十分間程度奪えるらしいわ。
って言っても、時を止めたり出来るとかではないから、立ったまま寝ちゃう感じに近いかしら?」
馬鹿にした様子で言われたが、どちらも魔法みたいなモノではないか。
……なんとなく、納得がいかない。
だけどこれがあれば、楽々室内に侵入出来そうね。
「じゃあ、行きましょうか?
とりあえずドアの前に立っている、そのふたりの騎士の意識を奪っちゃいましょ」
言うが早いか、怪しいスプレー瓶を男達に向け、情け容赦なくプシューとぶっかけた。
そんな風に、姿の見えない相手にいきなり奇襲攻撃を仕掛けられたモノだから、いかに勇敢な騎士でも敵うはずもなく。
……一瞬視線をさ迷わせたかと思うと、ドロンと虚ろな目をしたままふたりの騎士はパタリと雑談を止め、無言のままその場に、まるで生きたまま固められた蝋人形みたいに立ち尽くした。
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