その男、ストーカーにつき

ryon*

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 窓から射し込む光が眩しくて、そっと目を開けた。
 するとそこには僕に腕枕したまま穏やかに微笑む、西園寺さんの姿。

「おはよう、陸斗くん。
 体の方は、大丈夫?」

 ちゅっ、と音を立て、額に口付けられたものだからくすぐったいような、気恥ずかしいような、ムズムズした気持ちになった。
 だけど不快では無かったから、クスリと笑って答えた。

「おはようございます、西園寺さん。
 大丈夫……ではないかもですが、まぁなんとか。
 ……いつの間にか僕、眠ってしまっていたみたいですね」

 瞳を手の平で擦りながら、ベッドの上、のそりと体を起こす。
 僕が寝てる間に綺麗にしてくれたらしき体と、着せられていたバスローブ。
 いかにも事後です、といった甘い雰囲気と相まって、いたたまれない気分になる。

「朝食は、食べられそう?
 ルームサービスを頼もうと思っているんだけど、何か希望はある?」

 これまではストーカーだの、変態だのと罵って来たが、いざ付き合ってみるとやはりこの人は、ハラちゃんの言うようにいわゆる『スパダリ』というヤツなのだろう。
 ホント、至れり尽くせり過ぎる。

「ありがとうございます、西園寺さん。
 えっと……特には。お任せします」

 ふと目をやった、ベッドサイド。
 そこに置かれていたのは、そう。  
 綺麗にラッピングされた、クリスマスプレゼントだった。

「メリークリスマス、陸斗くん。
 開けてみて?」

 蕩けそうなほど甘い笑みを浮かべ、言われた。
 だから僕も笑顔でそれを手に取り、真っ赤なリボンをほどいた。

 しかしその包みを開け、中から出てきた物を見て、フリーズした。
 そう……プレゼントの中身は僕が密かに好きだったアニメのキャラクターをモチーフにした、クリスタル製のフィギュア。
 
 ネットニュースで、二百万円もするからこんな物、いったい誰が買うんだろうとちょっと話題になっていた代物だ。
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