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本編1章
翌朝…じゃなかった!?!?
抱き潰されて意識を手放した俺が目が覚めたのは翌日だった。
ほとんど丸一日眠っていたようで、体も衣服も綺麗にされていたし、ベッドも綺麗になっていたけれど、自室の鏡で自分の姿を確認してため息をついた。
記憶にないキスマや噛み痕が残されており、これはたぶん俺が眠ったあともシエルに犯され続けたってことだよな?
見えるところにもちらほら見えるから、これ、カナタが見たらブチ切れそうだな…。
いや、カナタだけじゃないか、攻略対象であるアッシュ、カナタ、リバー、キリヤこの4人が見れば当然キレるのが予想できる。
付けた本人以外は怒るよな、どうしよう?
丸一日寝たせいか、体力はしっかり回復してるようで学校には間違いなく行ける。
行けるが、このSEXしましたって丸わかりなマーキングを誰にも見られず過ごすのは可能だろうか?
どう考えても誰かにバレる未来しか想像できないし、一応ゲームとは違う世界だから、もしかしたら卒業前にヤンデレENDもありえるんだよな。
自分以外の誰かとセックスしたなんて許せるわけねぇもんな、リバーに見られたらほぼ間違いなく死ぬ気がする。
カナタに見られたら今度こそ監禁かな、キリヤは…ああ、たぶんシエルも家族も殺されENDか。
アッシュが予想できない、公開プレイさせられる気もするけど、本来のゲームだとアッシュに公開プレイさせられる時って他のキャラとの好感度が低いから誰も助けてくれないんだよ。
好感度あげると選択肢を間違えたらヤンデレになっていくシステムだから、別に最初から全員と好感度高いってことはない、そこは普通の乙女ゲーとかと変わらん。
意外と頭が回ってるな、さんざん犯されて精神的にももうキツいと思ってたけど、まっ、寝たら忘れるって特技は大事だなやっぱ。
もちろん記憶から綺麗さっぱりなくなったわけじゃねぇけど、でも、うん、まだ頑張れそうだ。
問題はどう頑張れば今の危機的状況を抜け出せるかだけど、学校に行けば誰かにバレる、バレたらヤンデレEND、うーん、学校をこのままサボって消えるのを待っててもカナタだけにはバレる可能性が高いよな。
うんうんと頭を悩ませてるとコンコンとノックの音が聞こえて、マズイと急いで布団をかぶりなおして寝たフリを決め込むことにした。
シーンと静まり返る部屋に、相手が焦れたのか、カチャリと扉が開いて誰かが入ってきた、人の気配に心臓はバクバクものだ。
頼むからそのまま出ていってくれと切実に願っていたのに、聞こえてきた声で俺の心臓は止まるかと思った。
「ユーリ、寝ているのか?」
この声、アッシュだよな??え、なんで!?待って待って、今ある意味1番会いたくなかったアッシュがなんで俺の家にきてんの!?
しかも、なんで、普通に部屋に通されたわけ?誰もなんも言わねぇのかよ、止めろよ!カナタとシエルどっちか。
俺はとにかく大混乱した、いるはずのない人の声が聞こえたのだから当然といえば当然だろう。
「ユーリ、やはり、今日も目を覚まさないのか?」
うん?今聞き捨てならないことを言われたぞ、今日もってなんだ?
俺もしかしてシエルに抱き潰されてから1日以上寝てた?
え、まって、情報処理が追いつかん、そんなことってあるのか、たしかに疲労困憊ではあったけどさ。
もぞと体を動かして、布団に潜ったままならアッシュに体に残された痕を見せないですむだろうと寝返りをうって、瞼を持ち上げて、ぼんやりとする視界にアッシュを映す。
「あっしゅ……?」
「ユーリ!よかった、やっと目が覚めたんだな」
布団の上からアッシュに抱きしめられて、なんだか騙してるみたいで申し訳ないなと思う。
だって、俺はただシエルに抱き潰されて意識を失っただけなんだ。
別に病気かなにかで起きなかったわけじゃない。
それなのにこんなに心配してくれてる、アッシュが慌てて使用人を呼ぼうとしてるから、今やめてほしくてクイッと袖を掴んで「大丈夫だから」と止める。
すると、アッシュが「そうか」と一言呟いてから、ベッドに腰掛けてきた。
俺の頭を優しく撫でる手つきに、あぁ…久しぶりだなと思う。
恋愛フラグとかヤンデレフラグとかそんなんばっかで純粋に頭を撫でられたのなんて久しぶりだ。
じわりと涙で視界が滲む、学園に入学してから気も休まらないし、そんなに日をあけないで男4人に犯されたのは俺の精神を少なからず蝕んでいたようだ。
自分の意思とは関係なしに感じてしまい男を受け入れて悦ぶ体、心とチグハグすぎて、壊れるのができたらどんなに楽だろうなんて思うくらいに。
ぽろぽろと涙が溢れてきて、嗚咽をもらすと困ったように優しく頬に触れたアッシュが目尻に、ちゅっとちゅっと口付け落として涙を吸われる。
それがなんだか擽ったくて、嫌じゃなくて、ムズムズする。
アッシュの優しさに涙が止まらなくて、困ったように頭を撫でてくれるアッシュが天使にも見えた。
下心がないわけじゃないだろうけど、純粋にこうやって触れてくれるアッシュに心が癒される気がする。
泣き止むまでずっと俺の頭を撫でてくれて、その優しい手つきに安堵を覚えた。
安心する、アッシュといると…、だから油断してたってのもあると思う。
アッシュが不意に俺の布団をめくってしまった、そのことに血の気が引いた。
隠しきれない噛み痕やキスマが見られてしまった、青ざめて震えてるとアッシュが眉間にしわ寄せて俺を抱きしめた次の瞬間、景色が変わってた。
見に覚えがない…というと嘘になる、ゲーム内でさんざん見たことがある、アッシュの別荘だ。
ここに主人公を監禁するんだよな、てことは、俺もしかして監禁される?
アッシュのヤンデレEND見ることになったのか、ははっ、入学してそうそうヤンデレEND展開なんて驚きだわ。
「ここは私の別荘だよ、誰も来ないから安心してほしいな」
「え?」
「…それは、ユーリが……君が望んだことではないのだろう?だからかな、あの家に置いておきたくなかったんだ」
俺の体に残された痕を指さして悲しげに紡がれた言葉が信じられなかった。
自分の都合のいい妄想をしてるんじゃないかって、だって、ゲームではこんなルートはなかったんだ。
やっぱりこの世界、ゲームの中にめちゃめちゃ似てるけど、みんなちゃんと自分の考えを持ってて生きてるんだ、ただ、ベースの性格はあれだろうから全員1歩間違えればヤンデレは変わらないんだろうけど。
助け出されたことで安心して涙がまた溢れだしてしまう。
カナタやシエルに怯えて暮らす必要がなくなったのが嬉しい。
でも、いつまでも、ここにお世話になることはできないんだろうな、仮にも俺は宰相の息子だ。
息子が行方不明じゃ大騒ぎになるだろうし、最後に会ったのがアッシュだってことはすぐにわかることだろ。
不安げに見つめてると、優しく微笑まれて頭を撫でられる。
「私のことは大丈夫だよ、ユーリと最後に会ったのが私なのはすぐにバレるけど、事情を話しておくよ、もちろん詳細は言わないから安心してほしい、ユーリの人権は守るよ」
「…ありがとっ…」
「辛かっだろう?誰にも相談できなかったのかい?」
こくりと頷いた、誰にも言えるわけがなかった。
執事と義弟、2人から犯されたことや、他にもリバーにキリヤからも…こんなこと言えるわけがない。
俺は宰相の息子だから訴えれば、もしかしたら…でも、そんなの家の恥にもなってしまう。
男に犯されてしまった宰相の息子とか、ゴシップにはいいだろうし、俺はたぶん誰かと婚約するなんてできなくなる。
そんなことになれば、きっと…俺は軟禁生活なんだろうな。
そんな未来が嫌で訴えることも誰にも相談できなかった、そこからアッシュが連れ出してくれて…ボロボロと泣きながらアッシュに縋り付くように抱きつく。
この時の俺は知らなかったんだ、アッシュが不敵な笑みを浮かべていたことを…。
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