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本編2章
気を失うまで…。
しおりを挟む意識飛ばすまでアッシュに何度も犯されナカに出されて、苦しくて、最後のほうの記憶はない。
ただ、たしかなことは…アレだけナカに出されたのだから妊娠したかもしれないという事実だ。
あのあと、アッシュの腕の中で目を覚まして、朝からまた犯されてナカに出された、そのあと一緒にお風呂に入ってようやく帰宅した。
引きこもっていた俺が外泊できたことに両親は喜んでいたけど、俺は喜べなかったよ。
シエルが悲しげな瞳で俺を見ていたから…、それが苦しかった。
1人部屋に戻って、もう一度記憶をなくす前の俺が書いた日記を読み直す。
なにかヒントはないかと読んでも、わかることは俺の行動次第で世界は変化すること、それに全員が全員記憶あるとはかぎらないし、前回記憶があったから次もあるとはかぎらない、記憶が残る原因は不明とかそんなんだもんな。
ただ、ふと気づいた、これループしてから書いてるから今の俺になった時点で前回の記憶がなくて、もしかしたらだけど、俺が記憶戻る前の前回の結末ってリバーと恋人ENDになってたんじゃ?
それで、リバーは記憶があったから浮気を許さないとか言ってた可能性があることに気づいた。
妄想ストーカータイプだと決めつけたけど、違うかもしれない。
そりゃあ記憶があれば浮気を許さないってなるよな、例え人生がまた変わったとしても。
しかも、記憶があったなら俺の雰囲気で記憶があると思うだろうし、記憶があるのに違う男とってなったら浮気認定されるか。
実際は俺の記憶は前回のものじゃなくて、転生する前のなんだけど。
うーん、どうなんだろうな、これ、リバーENDしたからあの態度だったのか、ぶっちゃけこればっかりはわからんよな。
また今回もループできるなら、そのときにわかっかな。
ひんやりとした手が俺の項に触れて、ひっとマヌケな悲鳴が小さくあがった。
「ひっ、ちょっ、なんだ!?」
「ユーリ様…」
ばっと振り返るとシエルがそこにはいて、悲しげで暗い表情をしてるから、こんな表情させたいんじゃなかったんだけどな。
「ユーリ様がアッシュ様と婚約しているのはわかってはいるんです、ですが…」
「ごめんな、シエルにそんな顔させたいんじゃないんだけどな、俺ダメダメだな…」
嗚呼、やっぱり、俺は生きてるかぎり、アッシュからは逃れられないし、シエルと結ばれることはできない。
シエルの言葉が脳裏に繰り返し浮かぶ、俺は生きててシエルが死んでるから…、降り積もるあの言葉になぜたか強く惹かれてしまう自分がいた。
この感情も作られたものなのか、なんなのか、わからない。
アッシュとの久しぶりのデートから3ヶ月、そのあとも週一のデートを繰り返して、その度にアッシュとのSEXを強要されて、ついに俺は妊娠が判明した。
やっとこれでアッシュとのSEXを断ることはできる、できるけど…妊娠したことがわかったときのシエルの表情が頭から離れない。
苦しそうだった、悲しそうだった、今にも死にそうな…死んでるんだけど、でも、そんな表情だったんだ。
俺は生きてて、シエルは死んでるから結ばれることはないし、俺が生きてるかぎり俺はアッシュのものであることも変わりない。
苦しかった、妊娠して…、望まない子供、アッシュとの子供、嫌だ、死にたい、生きていたくない、子供に悪いけど───────産みたくない…。
好きな人との子供ならきっと嬉しかったはずだけど、アッシュのことは好きだったはずなのに、今ではアッシュには気持ちがなくて、だから無理なんだ。
お腹の中にアッシュとの子供がいると思うとゾッとして、嫌悪感が凄い、考えるだけで吐きそうでお腹を殴りたい衝動に駆られる。
子供に罪がないことなんて頭ではわかってるのに、それでも無理なんだ、受け入れるのができない自分が苦しい。
どうしたらいいのかわからない。
妊娠したくなかった、死にたい、殺して、そんなことばかりが頭の中を駆け巡る。
1度は間違いなく愛したはずなのに…、なんでこんなに感情は簡単に変わるのだろうか。
人の感情ってこんなに簡単に割り切れるものなのか?
1度惚れた相手がどんな人間でもなかなか離れるのができないとかあるはずなのに。
浮気性のクズ男、DV野郎、そんなクズな男達から離れるのができない女性だっている、結婚する前は付き合う前はそうじゃなかったとしても。
なのになんで俺は、アッシュの本当の意味での怖さを知った、それだけでこんなにも嫌悪感を覚えるものなのか?
わからない、なにも…。
本当に俺の感情なのかさえも、今起きてることが本当に起きてるのかさえも。
俺はまだ眠ってるんじゃないかって、シエルが死んだあの日から眠り続けてるんじゃないかとそう希望に縋ることしかできない。
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