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本編4章
ループから抜け出せない
しおりを挟む幸せな夢を見た、また5人と仲良くしてる夢だ。
そんな夢を見てから目を覚ました俺は喪失感にかられて涙が自然と溢れた。
目が覚めると見慣れた天井、小さい手、またループだ。
死にたいわけじゃない、でも、いい加減ループから抜け出したいと考えるのは普通だと思う。
「なんでループから出れないんだろう、なんなんだ?この世界は…」
ただのゲームの世界、そう思ってたけど、そうでもないと思う。
ゲームの中のシナリオになかったことが起きすぎてるし、それに…俺は5人に違和感があるんだ。
最近その違和感が強くなってる気がする、こんな事するやつじゃないとか、そんな感じだ。
「はぁ…とりあえず、記録まとめるか、日記につけておかないとな」
本棚で日記を……と、あれ?ない、日記が1冊も。
俺が書いたものも前の俺が書いたものもすべてなくなってる!?!?どうして!?
いくら探しても日記は見つからなかった、どういうことだ?
日記が突然消えるなんて何が起きてるんだ?
俺は日記のことを話したこともないし、そもそも、前世の母国語で書いてるから読めないはずだ。
使用人が勝手に捨てるのはまず考えられない、たしかに古そうなものとあったが、だからこそ高価なものかもしれないと思うのが普通だ。
中身が読めないならなおさら、となると日記が消えた原因はなにか…。
考えられるのはループしてるのに日記が次の周に持って行けるのがおかしいからバグ修正された。
もう1つは誰かが持ち出した、この誰かは多分前回持ち出されたならリバー、カナタ、シエルの3人の誰かだろうな。
この部屋に簡単に入れたのは婚約者のリバー、義弟のカナタ、シエルは隠密行動とかもできそうだから入れた可能性は高い。
リバーの家にいる時に俺の部屋だったら本棚がある位置を何回も見てる俺をリバーが見てたとしたら、そこに何かあると感じてこの部屋に来た可能性は高い。
そこで読めない本が隠されるように置かれてた…となれば、それを持ち出してもおかしくないな。
うーん、犯人はリバー説が濃厚か、でも、なんのために持ち出したんだろう?
結局読めないからなにを書いてるかわからないわけだし、意味がないように思えるんだよな。
しかし、困った、内容を全部把握してるわけじゃないから記憶なかった頃の俺の日記を完全再現するなんて無理だ。
「はぁ……」
ため息が自然ともれる。
自分が体験したことは全部ノートに書いて、覚えてる範囲で前の俺が書いてたことを残しておく。
そういや、本当の記憶がどうのこうのってあったよな、あれどこにあるのかいまだに見つけれない。
天井の謎の違和感は魔法陣があったけど、それだけで終わったし、不発だったのか俺にはよくわかんなかったけど、少なくともこの部屋ではなんの変化もなかった。
今回もまた散らばるヒントを頼りにどうにかループ終わらせるよう頑張らねぇと。
よく考えたらあの魔法陣、他の部屋の仕掛けを動かすものだったかもしれないことに気づいた。
RPGではよくあることだろ、なんで俺考えつかなかったかな。
何も起きなかったことにがっかりして他の部屋の可能性が飛んでたんだよな。
今回はあの魔法陣をもう一度発動させよう、それから色々と見て回ればなにかを見つけれるかもしれない。
あとはキリヤの謎か、前回やり残したことと言えばキリヤだ、キリヤがなんで俺を呼び出したのに会う約束をしたのを忘れていたのか。
それにあんなチャラそうというか、慣れてる感じのキリヤは初めてなのに既視感があったのもわからない。
懐かしさすら覚えたしな、キリヤだって。
あの既視感と謎の懐かしさ、それからキリヤが俺に何を言おうとしたのか、わからないことは多い。
室内をウロウロして考えてると、あっ、そうだ!
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急いで庭に行くが、アッシュが見当たらない。
あれ?前回はアッシュが殺されてたから会えなかったけど、まさか今回もとか言わないよな?
そんな何回もアッシュ死亡起きないと信じたい。
途方に暮れてると後ろから誰かが近づいてきて、振り向くと知らない男の人だった。
その人を見た瞬間、俺の意識は奪われ暗闇に落ちた。
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