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本編完結編
綺麗な男の子との出会い
今日は僕の世話係からシエルって男の子を紹介されて、凄く綺麗な男の子で大人しいその子のことが気になって、仲良くなりたくて家の中や庭を案内したり、一緒にお菓子を食べたりしたけど、どこか寂しげな雰囲気をしていて僕の胸はきゅっと締め付けられてチクチク痛んだ。
シエルとの出会いからしばらくすると、僕は変な夢を見るようになった。
見覚えがある景色の中で僕は一人歩いていて誰もいないんだ。
歩いても歩いても歩いても誰もいなくて…、悲しくなってくるんだけど、そうするとどこからともなく知らない男の人達が現れて僕に話しかけてきて──────そこで目が覚めてしまう。
どこか懐かしい感じがする男の人達は誰なんだろうか?
どことなくシエルに似てるような気がする男の人もいたような気がするけど、気のせいなのかな?
そんな夢を見るようになっても日常はいつもと変わらなくて、今日はまたお父様から大切な人が来ているからと言われて挨拶に行くとキリヤって名前の僕より年上のお兄さんを王宮騎士団団長さんから紹介された。
一人息子なんだって、キリヤは僕に笑いかけてくれて、その笑顔は優しくて僕の胸はぽかぽかした。
なんだろう?この気持ち、胸がじんわり温かくなるような…懐かしい気がして僕は自然と泣いてしまったんだ。
僕が突然泣き出したからキリヤお兄さんもお父様も騎士団長も驚いて、オロオロしてたのはちょっと面白かったけど、迷惑かけてしまったことは恥ずかしかった。
僕にもなんで泣いてしまったのか原因なんて分からない、ただ、ただ、キリヤお兄さんを見てると泣きたくなっただけとしか言いようがない。
結局僕がグズってキリヤお兄さんから離れないから、キリヤお兄さんは僕の部屋で泊まることになって同じベッドで眠ると凄く安心できた。
前にもこんなことがあったような気がするけど、キリヤお兄さんとは初対面だから変な感覚で僕の頭の中はますます混乱した、なんでこんなに懐かしいんだろ?
キリヤお兄さんと初めて一緒のベッドで寝てるはずなのに前にもこうやって抱きしめられて寝たことがあるような……。
僕は考え事しながらも瞼は自然と重くなって安心感とキリヤお兄さんの温もりで眠くなって、いつの間にか眠りについた。
両親は施設や教会で保護されてる僕と同じくらいの子供達に寄付をよくしているんだけど、その中で一人の男の子と運命的な出会いをしたとかで僕になんと、血は繋がらないけど弟ができた!
凄く可愛くて天使のようなその子に僕は一目で気に入って仲良くしたくて、かまい倒したらちょっとウザがられちゃってショックだった。
でも、なんだろう、シエルと出会ったあの日からずっと僕の胸はモヤモヤするんだ、なにか大切なことを忘れてるような気がして苦しい。
なんだろ、なにを忘れてるんだろ?
思い出せって僕の心が騒ぐ。
自分の感情がよくわからないまま僕はデスペア学園に入学する16歳になった。
僕の人生は順調と言えるほど順調で、キリヤ兄さん、カナタ、シエルとも仲良くしてるし、それから僕は王様と第2妃様の間に授かった息子、第1王子のキリリク様、その方と僕は婚約した。
まさか第1王子と婚約することになるなんて予想してなかったし、驚いたけど、キリリク様は見た目は冷たそうなのに凄く優しくて真紅色の瞳も最初は怖かったけど今では好きだ。
キリリク様を悪魔の子とか言う人がいるってのは聞いたけど、そんなのありえない。
黒い髪に真紅色の瞳は冷酷そうで悪魔のように見えるのかもしれない、それでも、僕の前では優しいし、可愛い1面だってある。
そんな人が悪魔の子なんてデタラメにすぎない、第1王子だからやっかむ人とかもいるんだろうな。
でも、問題はそのあとだった、僕とキリリク様は正式婚約してるのだけど、すっかり忘れてたんだ。
美少女との口約束のことを、その約束した相手が実は男で第2王子のアッシュ様だったことを知った僕は驚いたし、子供の頃の口約束なんて覚えてるわけないと思ったのにアッシュ様は覚えていて、なぜ兄上と婚約したのかと悲しげな表情で言われたら、僕は何も言えなかった。
おかげで僕は学園ではすっかり有名人だ。
第1王子と第2王子に挟まれてるんだから仕方ないかもだけど、この目立つ状況は本当に勘弁して欲しい。
忘れていた僕にも落ち度はあると思う、でも、だからってなんで僕のクラスまで来て2人がいがみ合うのさ。
学園に登校してからだけじゃなかった。
いつもシエルとカナタと登校してるんだけど、ついに婚約者のキリリクとアッシュが僕を迎えに来た。
いつかはこうなる気がしたけど、予想通りというか、なんというか。
前を歩く2人が喧嘩してるのを眺めながら、僕はシエルとカナタと歩いていた。
なんか話しかけたら面倒なことになりそうだという予感からだ。
「兄様、私はユーリと幼い頃から約束したというのに、なぜ、兄様がユーリと婚約してるのか、ぜひとも聞かせてほしいな」
「決まっているだろう?私もユーリを一目見て気に入ったからだ、先に婚約の話しを持ち出せばいいものを子供の口約束で婚約が成立するわけがなかろう?」
「ですが、例え子供の口約束だとしても私とユーリは惹かれあってる、それを邪魔したのは兄様でしょう」
「ふっ、惹かれあってる?なにを馬鹿なことを、ユーリはアッシュとの約束を言われて思い出した様子だったではないか」
学園着くまで続くのかななんて呑気に考えてたら、僕の名前がでてきて忘れてたことを指摘されると非常に困る。
ほら、やっぱりアッシュがこっちを見た。
僕を巻き込まないでほしい、兄弟喧嘩に、いくら僕が原因でも。
アッシュが僕に微笑みかけて、でも、確かな圧を感じるその微笑みにひくっと口の端が引き攣る。
「ユーリは私のことが好きだよね?」
「………」
「好きじゃないのかい?」
しゅんと項垂れる様子に犬の耳やしっぽが見えそうだなんて現実逃避な考えをしてると、キリリクが僕を見て真紅色の瞳に寂しさを宿して揺らめいている。
「ユーリは私の婚約者だ、当然私のことが好きだろう?」
自信満々な発言をしてるのにどこか不安げな様子のキリリクに胸がきゅんとする。
でも、これって結局僕はどちらが好きなんだ?
アッシュも凄く可愛くて、キリリクも可愛くて、どっちも可愛すぎて頭を撫で回したい気分だ。
二人がそんな回答を求めてるわけじゃないのはわかってるし、どうしたらいいんだろうか。
「えっと…、2人のこと好きだよ、それじゃ……だめ?」
上目遣いで、こてんと首を傾げて2人を見ると2人がなぜだか天を仰いでる。
効果はあったのだろうか、前にリバー先生が教えてくれた方法だ。
どうしてもあの2人で困ったことがあれば、この方法使ってみなさいと言われたから試してみたけど。
ふぅ…と2人とも息を吐き出して「可愛い」と噛み締めるように言われても僕は混乱するばかりだ。
男に可愛いはないと思う、さっきまで2人に対して可愛いと思っていた自分のことは棚に上げてそんなことを考えてると学園が見えてきて、これで一旦解放される、よかったと内心安堵する。
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