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番外編
番外編 リバーEND
私とユーリはお互いを好きだと認めあってすぐにユーリが呪いにかけられてしまった。
なんの進展もないままに彼は長い眠りについてしまったから、正直どうやって進めばいいのかわからない。
隣同士で座るだけでも緊張してるのに、これ以上どうしたらいいのだろうか?そんな事が頭に浮かぶ。
ユーリも緊張してるようでずっと表情が硬い、今日は初夜だ、私達は手を繋ぐことさえなかったというのに人前で初めての口付けを交わした。
その時のユーリは真っ赤に熟れた果実のようで、とても愛らしかった。
ユーリが目が覚めてすぐに結婚式の準備をして結婚してしまったから、本当に忙しくて私達は恋人同士のような触れ合いをすることなく今日を迎えてしまった。
別にそれはいいのよ?ただ、私はユーリを待っていたし、起きると信じていたから……経験がない。
ユーリがまだ3歳の頃、その頃に私とユーリは親同士が決めた婚約をした。
私は当時からユーリを可愛いと思っていたし、ユーリにとくに不満もなかったから婚約者が年下であろうが不貞を働くつもりはなくて、この歳まで経験がない。
どうやってユーリをそういう気持ちにさせたらいいのか、正直分からない。
わからないから、ゴクリと喉を鳴らして唾液を嚥下しユーリのほうを見つめる。
「……ここに、ふれてもいい?」
ユーリからしたら突然のことかもしれない、でも、私は言わずにはいられなかった。
このままだと初夜になにもしないで終わってしまうから。
ベッドの上で2人横に並んで座って、ずっと手をグーパーしてるだけだったのが突然そんなことを言われたからか、ユーリは言葉を失ってるようで黙り込んでいる。
なにを考えてるのかわからない、沈黙が続いて時計の針の音だけがやけに大きく感じた。
まるで判決を待ってる気分ね、と心の中で自嘲気味に笑う。
だってそうだろう?結婚初夜、初夜にすることを知らないほど、おぼこいわけがない。
一応それなりにそういった教育は受けてるはずなのだから、それなのにユーリはずっと黙り込んでいる。
なにか、言いたげに口をはくはくと開いたり閉じたりするだけで、ユーリは何も言わない。
だからこそ不安が募っていく、もしかしたら、ユーリは私を好きだと言ってくれたけど、この子は性的な関心はなかったのかもしれない。
ユーリってズレてるところあるし、清廉潔白なイメージというか、そういうものがある。
私だけなのかな、ユーリと1歩前進した関係を築きたいって思ってるの。
もう一度だけ、そう思ってユーリの唇に触れて言葉を紡ぐ。
「……ここに、ふれてもいい?」
そうすると、今度は言葉の意味をちゃんと理解したのか、目を丸くして驚くユーリが次の瞬間、耳や項まで真っ赤に染めあげた。
反応的にユーリはやっぱりちゃんと私を好きでいてくれてるようだ。
それだけでもホッと胸を撫で下ろす、結婚したのに片思いとか嫌だった。
同じ熱量で好きになって欲しいとかは思わない、それでも、ユーリに少しでもいいから愛を返して欲しいと思うのは貪欲なんだろうか?
ユーリが自分を意識してくれただけでもよしとしたほうがいいか、じっとユーリを見て考える。
私の指に触れるユーリの吐き出す息に胸が高鳴っていく、自分で言っておきながらも私だって緊張はしてるのだ。
一応仮にも夫婦になったのだから、今日肌を重ねることは無理でも人前でした触れるだけの口付けじゃなくて、もっと深い口付けをしたかった。
してみたかった、ユーリの唾液はきっと甘いのだろうと想像さえしてしまうほどに。
穢れがないこの子を自分色に染めたい、そんな欲望すら芽生えていた。
それほどに私はこの子を愛してるのだ、心の底から。
この子が呪いを受けて、いつ目覚めるかわからないから婚約破棄をとユーリの両親に言われた時でも私は了承しなかった。
ユーリしか私の運命はいない、目が覚めないのなら覚めなくてもいい、ユーリと死ぬまで私はユーリのそばにいると断言するくらいには。
だから目が覚めた時は本当に奇跡だと思った、ユーリが寝てる間は邪なことを考えたりしなかったのに、目が覚めたユーリを見たら私の中に眠っていた感情が爆発した。
ユーリに触れたい、ユーリと愛し合いたいと……。
そう思ってても私達はユーリが目が覚めるとすぐに結婚の準備をしなければいけなくなった。
私がユーリを待ってる間に歳を重ねたから、早く結婚しろとせっつかれた結果だ。
目が覚めてすぐに結婚になったから、ユーリからしたら心の準備なんてできてるわけがない。
だから、これは提案だった、まずは口付けからという。
今日はそれ以上のことはするつもりなんてない。
ユーリの気持ちを大事にしたいし、5年待ったのだから今更も少し待つのもできる。
ユーリが何も言えずに眉尻下がる表情を見て、唇に触れていた指を横に滑らせた。
すると小さく漏れる甘い声に鼓動が跳ねた、体の熱は徐々に上がっていき、それだけで興奮してしまう。
怖がらせてはいけないから、そんな興奮したらダメ!と自分に叱咤して、ユーリの大きく開かれた瞳は潤んでいた。
薄く膜を張ってる様子に、これ以上の無理強いはよくないなと判断した。
今にも泣きそうな表情をされたら、私だってこれ以上は言えないわ。
意識だけしてくれたから、私はそういうこともしたいと意思表示はしたから、それでいいだろう。
そう考えて、触れていた唇から指を離してユーリに笑いかけた。
「……ごめんなさい、性急だったわね、ほら、もう寝ましょう?」
安心させるようにつとめて明るく言葉にして、ユーリの肩を叩いて横になるように促し自分はベッド奥側に移動しようとすると、唐突に手を掴まれた。
それは予想外の出来事だった、ユーリから手を掴まれるだなんて思ってなくて、バランスを崩しそうになる。
何とか踏みとどまって振り返ると真っ赤に染まる頬が愛らしくて「ユーリ?」と自分でも予想できないほど甘ったるい声音で名前を呼んでいた。
すると、ユーリが私の指をユーリの口元に引き寄せて、それからユーリは私の指を口に含んだ。
え?と私が固まってるのもお構いなしに口内に入り込んだ指に爪に歯を立てられ、たしかな欲を孕んで潤んだ瞳でユーリに見られても暴走しなかった自分を褒めたいくらいだ。
グッと堪えて、ユーリのやりたいことをさせている、湿った吐息がユーリから漏れるたびに今すぐにでも押し倒して全てを暴きたいと訴える自分の心の声を無視する。
そんなことは知らない、ユーリはもっと大胆に私の指にちゅうっと音を立て吸い付いてきた。
それには興奮しすぎて今にも暴走しそうな己の欲望を抑えながら、息を詰める。
潤んだ瞳で私を見続けるユーリから目が離せなくて見つめあったまま、私はユーリの行動に振り回されていた。
自分の心臓は苦しいくらいに暴れてるし、自分の心臓の音がうるさ過ぎて、さっきまで聞こえていたはずの時計の針の音も聞こえないくらいだ。
「……リバー……」
小さくかすかに聞こえた、ユーリの声はどろりと甘く蕩けてるようだ。
何度もしまいこもうとした欲望は大きく育ち、これ以上はユーリに触れずにはいられない。
それでも、なお、私は……。
「触れてもいいかしら?」
その言葉を聞いたユーリは体当たりのように私に突撃してきた、体格差から難なく受け止めて、今日初めて触れ合う口付けだけじゃない口付けを交わしたのだった。
想像よりずっと甘いユーリの唾液に夢中になって口内を味わうとユーリはどろどろに蕩けて可愛かった。
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