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番外編
番外編 シエルEND
目を覚ましてから僕のそばを離れなくなったシエルに困惑していた。
今だって僕が目を覚ましてから沢山届く手紙に目を通して、返事を書いてるところを僕の後ろで見ている。
シエルの視線が突き刺さるように感じて、どうしたものかと悩んでいた。
シエルの過保護っぷりが拍車をかけてる、その理由だってもちろん分かってるつもりだ。
僕だってシエルが万が一にも目を覚まさなかったらと考えれば、強く言えない。
さすがにそこにずっといられると気が散るからとか、言えるわけがないんだ。
だからこそ、どうしたら、シエルの不安を拭えるのか考えていた。
なんかこのままじゃいけない気がする、そのうち誰にも会わせないとか言い出してもおかしくない、そんな雰囲気すら感じるから。
手紙の返事を書きながらも考えるのはシエルのことばかりだ、シエルの不安を拭う方法ってなんだろうか。
僕の愛がちゃんと伝わってないとか、そういうのはないはずなのに。
ペンを置いて書き終わった手紙をシエルに渡す。
「シエル、これお願い」
「……かしこまりました」
一応僕とシエルは婚約していても、主人と執事という関係性はそのままだ。
結婚するまでは執事として、そばに居ることをシエルが望んだから。
そこで、ふと考える、僕は目が覚めたし、結婚だってできる年齢だ。
それなら、いつまでも婚約者という立場でいる必要が無いのでは?
結婚したっていいはずだ、そうだ、これだ!
シエルが戻ってきたら、言おう、僕から結婚しようって。
すでに婚約してるのだから、そんなに緊張する必要性がないとわかってても緊張する。
ドキドキと忙しなく動く心臓にぎゅっと胸の前を押さえて、部屋の扉が開くのを視界に入れると口から心臓が飛び出るんじゃないかってくらいにドクンと一際大きく鳴った。
僕のことを見たシエルが不思議そうに首を傾げている、そんな姿さえ愛おしい。
いえ、言うんだ、シエルなら喜んでくれるはずだ。
「あ、あのさ……シエル」
緊張で口の中はカラカラで焼けるように熱く、はぁ…と1つ息を吐き出して、口の中を唾液で湿らせてからゴクリと飲み込んだ。
意を決して、もう一度口を開く。
「シエル、僕と結婚しよう!」
「……え?」
「いや……かな?僕と結婚するの」
不安げにシエルを見つめると、シエルは僕の言葉の意味を噛み砕いてるような、そんな様子を見せる。
突然のことに脳の処理が追いついてないらしい。
そんな様子が可愛くて、自然と口元が緩む。
すると、シエルの瞳からポロポロと大粒の涙が溢れ出して、僕は慌てて立ち上がってシエルのそばに移動した。
「シエル?えっと、僕と結婚するの嫌だった……?」
「そんなわけありません!うれ、嬉しくて……」
涙が止まる気配がなくて、僕はシエルの言葉に耳を傾けた。
嬉しい、嬉しいと何度も言って喜んでくれる君が本当に愛おしい。
僕のことを壊れ物を扱うみたいに優しく抱きしめてきた温もりが心地よくて、思わずスリッと擦り寄ると腰に回された腕に力がこもる。
「ユーリ様、絶対に幸せにします」
「ふふっ、2人で幸せになろうね?シエル、愛してるよ」
シエルへの愛おしさが言葉となってこぼれ落ちた。
これからもずっと2人で幸せになりたい、どちらか一方が幸せなだけじゃダメだ。
2人で幸せにならないなら意味が無いと思う。
こうして僕とシエルの結婚報告は数ヶ月後発表されることとなる。
数ヶ月を要したのは結婚式の準備に時間がとったからだ、シエルは僕を着飾りたいようで本当に大変だった。
ドレスにタキシード両方選ぶことになるし、お色直しの回数も多い、10回もすることになるなんて思わなかったよ。
それでも、なんとか結婚式を挙げて、その結婚式に参加した人達はみな口を揃えて「世紀のバカップル誕生」と言うのだった。
お互いにお互いのことしか見えてない様子で、終始見つめ合う2人の姿があったそうな。
END
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