【R-18】ヤンデレゲームの主人公に転生した俺は恋愛フラグをへし折りたい。【本編完結】

REN

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シエル番外編

男との出会いが運命を変える。

 
 
 私は物心ついた頃から、盗み、スリ、ゴミ箱漁りをして、なんとか命を繋いでいた。
 当時の私は痩せ細っていて、みすぼらしかったと思う。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「コラあああ! クソガキ! またお前か! 今日という今日は許さんぞ!!」

「へっへーん! 捕まえるもんなら捕まえてみろってんだ!」
 
 俺を追いかける太ったオッサンにアッカンベーと舌を出して、急いで前を向くと、ドン! っと人にぶつかってしまった。
 顔をあげれば自分を見下ろす男の顔、一見して紳士的で優しそうではあるが、なにを考えてるかまではわからない。
 上等な服を身にまとってることを考えれば、どこかの貴族かと身構える。
 
「おやおや、坊や、君はもしかして、孤児かい?」

「だ、だからってなんだよ!! アンタに関係ねぇだろ!」

「ふふ、そうかいそうかい、ヤンチャだねぇ」
 
 男はそう笑うと俺の体を軽々しく抱き上げってしまった。
 俺は慌てて手足をばたつかせ喚く。
 
「離せ! なにすんだ、くそジジィ!」

「ふふ、元気なのはいいことですよ」
 
 離せ! 人攫い! くそジジィ!
 と、いくら喚いても離してはもらえず、誰もその様子を気にとめない。
 俺がみすぼらしい格好をしてるからだと思った。
 孤児だから、誰も助けようとはしない。
 俺が暴れてると追いかけてきたオッサンが追いついたようで男に話しかける。
 
「いやあ、すいませんね、その坊主、こっちで預かるんで」

「ああ、問題ないですよ、して、これくらいで足りますか?」
 
 と、オッサンに金貨三枚手渡した。
 そんなにするはずないってことは、学がない俺でもわかる。
 これは邪魔するなってことか? 男なら金貨を受け取った男は、なにも言わず「十分です、ありがとうございます!」と笑顔で男に言ってから、この場を離れた。


 残された俺はというと、男に抱き上げられたまま抵抗虚しく馬車に押し込まれて、男も隣に入ってきて逃げ道を塞がれた。

 俺はガルルと威嚇する。それを見ても男はただ「可愛いですね? そんなに警戒しないでくださいよ」と笑うだけだった。気色悪い。

 何を考えてるのか、俺をどこへ連れていくつもりなのか、目的もなにもかもわからなくて、ただ、ただ、吐き気が込み上げてくる。
 親切にしてくる大人は信用してならない。前にゴミ箱を漁ってる時に声をかけてきた男がいた。
 それで理解したんだ、大人は優しくする時はなにかしら下心があるって。
 俺みたいな小汚い子供にわざわざ近づいてくる時点で気づくべきだった。男のちんこを蹴りあげて無事に逃げ出せたから、あの時はよかったけど。

 チラッと隣を見て、この男からは逃げれる気がしない。あの時のおっさんみたいな隙が全然ない。
 子供だからって油断したりしてない、そんな感じがする。
 男が俺の方をちらっと見て微笑む。
 
「も少しでつきますよ、今日から貴方の家になるんですから、そんなに警戒しないでください」

「ふざけんな! 俺はアンタの世話になんてならない!」

「本当にきかん坊さんですね、ですが、それでは大きくなった時に困るのは貴方ですよ。子供のうちはまだよくても、大人になった時、なんの学もない身分で仕事ができるとでも思ってるんですか?」
 
 男の言葉に俺は何も返せなかった。
 大人になれば仕事が見つかるとか、そんなふうに考えていたからだ。
 体を動かすことは得意だし、そっち系ならと思っていたが、違ったんだろうか?

 世間のことなんてわからない、物心ついた時にはゴミ箱漁ったり、その日を暮らすのに必死だった。
 世間の常識を俺は持っていない。なにも言い返せない俺に男は憐れむような視線を向けてきた。
 
「本当に何も知らないんですね? 貴方のような子供が、そのまま大人になれば将来は山賊や盗賊といった悪人になるだけですよ。大人になれば仕事ができるという考えは間違ってはいませんが、それは一般的な教養があれば……の話です」

「……そんなの知るかよ」

「ふふ、だから、私達の元でそれは学びなさい。いいですか? 私は貴方に衣食住を与え、これから生きていく術を教えます」

「……アンタになんの得があんだよ、そんなの」

「そうですね、その過程で貴方には仕事をちゃんとしてもらいますから、大丈夫ですよ」
 
 そう男は笑った。
 この男が俺になにをさせようとしてるのかとか、なにもわからないけど、ただ、俺は生きていく術を教えてくれるって言うなら、悪魔にだって魂を売ってやる! そんな気持ちで男の提案を飲みことにしたんだ。


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