『小説カフェやすらぎ・フューチャー』

神林君とキャサリンさん（１０）

まわりをキョロキョロ見ながら搭乗チケットに記されている席に座ると、シートベルトがイスの背から出てきて、腰回りに締められた。
各席の目の前は窓になっていて、外が良く見えるようになっている。
「こんなふうになってるのかー」
隣の席のマスターが感激した声で言った。
「ほんと、すごいね～」
わたしも興奮しながらこたえた。
少しすると船内にアナウンスが入って、宇宙船は離陸してエディー星へ向かった。

宇宙船はわたし達が考えも及ばない速さで飛ぶらしく、エディー星へは三時間で到着するという。エディー星の滞在時間も三時間。別の惑星の波動に調整できる体の機能をまだ持っていない人間は別の惑星にあまり長い時間いられないらしい。

宇宙船が離陸してすぐに船内で乗客の世話をする数人の歩行型ロボットに飲み物と軽食を運んでもらうと、わたし達は食事をしながら窓から見える外の景色を見て楽しんだ。
空が水色から濃い藍色になって闇なり、遠くに青く光る地球が遠くに見えたときは乗客のみんなと喜びの声をあげて、心がひとつになれたような気がした。そのあとは色とりどりの別の惑星が見えたり、宇宙を行き交う別の宇宙船が見えたりして、その景色にみんなと一緒に魅了された。しばらくすると、スピードがあがったためか、窓の外の景色は闇とたまに見える光の帯だけになり、いつの間にかわたし達は眠ってしまった。

「カラン、カラン、カラン♪　シャン、シャン、シャン♪」
教会の鐘のような、鈴の音のような大きな音がして、目を覚まして窓から外を見ると、エディー星の宇宙港に到着したようだった。