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2章

ディメンション・スクール(14)

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部屋の灯りをつけてマスターが両手でワールドマップを広げると、マップは光を放つのをやめた。
「もう一度、このマップで、どこかへ行ってみる?」
マップを覗きこんでわたしは言った。
「いやっ。明日、ディメンション・スクールに連絡して予約を入れよう。スクールで三次元に戻る方法を教えてもらうんだ」
「……うん」
「元の世界に戻ったほうがいいよ」
「でもこうやってマップが光ったってことはどこかへ旅しなさいってことなんじゃない?」
「……そうともとれるな」
「次はエジプトに旅行することにしてたのよね、小説では」
わたしはマップのなかのエジプトを指さそうとした。
「いやっ、やっぱりマップは捨てよう」
マスターは意を決した言い方で言って、マップをゴミ籠に捨てた。
けれど、ベッドに戻って灯りを消すと、再び、マップが光を放ち部屋を照らした。
「これじゃ、眠れないね」
わたしが言うと、マスターは上半身を起こして言った。
「行ってしまうか、エジプトへ!」
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