桃太郎かな？

旅立ち前

桃(？)

 むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんがいました。
 二人の間に子供はいません、少し寂しく思う瞬間もありますが、お互い協力してそれなりの日々を過ごしていました。

 いつも通りの朝がきました。

爺「なんだか変な夢を見たのじゃが」
婆「おじいさんもなのか、わたしもじゃよ、不思議な夢じゃ」

 二人が夢のことについてお互いに話をすると、完全に内容が一致していた。

爺「喋る桃など本当に奇想天外な夢じゃった」
婆「しかも食べきれないほどの大きさだったのう」

 その日、いつも通りおじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。

 おばあさんが川にたどり着いた。

婆「さて、今日も頑張って洗濯をしようかね」

 頑張って洗濯をしていると、川の上流から何かが流れてきていた。
 そして、その何かはおばあさんの方へと飛んできた。

婆「ひぃ！ 」

 時間は流れ、空が赤くなった頃。

爺「ただいま」
婆「…」
爺「黙っているがどうした…なんじゃこりゃ！？」

 おばあさんの傍にはなんと、人一人分の大きさの桃がある。

婆「…この桃は動くんじゃよ、川から家に帰る時にずっと着いて来て今に至る」
爺「果物なのに不思議じゃの、夢に出てきた桃と同じ存在かの？」
婆「今のところ喋る桃ではないようじゃが…」

 二人は夢のことを隅々まで思い出していた。

爺「わしらから声をかけてみるか！」
婆「そうじゃの！このまま何もしないわけにもいかないのじゃ」

 2人は桃に向かって話しかけた。
 あなたは誰ですか、と。

桃(？)「僕は桃太郎です！」