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第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い
26 初出勤
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「おはようございます」
出勤初日、俺は元気よく遅刻した。
「遅ぇぞ新人、もう昼が来るじゃねぇか!」
なにこの人、怖い。事務所のソファに大きな態度で座っているその人に初出勤いきなり大声で指摘され萎縮してしまった。所長から十時開店の服屋でスーツを買ってその後眼鏡屋で調整をしてもらってからの出勤と言われていたのだが。
「日比谷が珍しく新入社員入れるって言うからどんな奴かと思って折角見に来てやったのに初出勤で遅ぇ。ったく」
今度は指をさして二度目の遅いという指摘。大きな声だ。その隣にはお連れだろうか俺と歳が近そうな静かに座っている。
「昨日はご苦労だったな。その後は上手くいったか?」
「は、はい。あの、成り行きで彼女の家庭教師をすることになりました」
「なに?」
所長の目つきが鋭くなった。副業禁止の会社だったのかな?特殊な仕事だし、しかも入社初日に副業決めてくるなんて非常識だったか。ゆっくり近づいてきた所長は俺の方に手をやり耳元で呟いた。
「……着替え中の写真は撮ってこいよ」
「う、うす」
「うす、じゃねーよ」
梓さんの特殊武器によって俺と所長は壁に吹き飛ばされた。
「相変わらず怖ぇなぁ水沢ぁ。俺の所の綾女川と一緒だな」
「あんなゴスロリ露出狂と一緒にしないでほしいわ」
「確かにゴスロリだが露出頻度は水沢の方が……」
「彼女の露出は品がないただのエロの欲望よ」
「お、おぅ」
大声で俺を指摘してきた人も梓さんにはタジタジになってしまっている。
飛ばされた壁から痛そうな鼻を押さえながら戻ってきた所長に紹介され、大声の人がただの態度悪い客人ではないことを知った。
「こいつは、シロクマ支店所長の火傘車仁《ひがさぐるまじん》だ」
「ヨロシクなー、もやし新人くん」
「もやしって……」
俺は自己紹介をしたがしばらくはもやしと呼ばれていた。
「こいつ、口は悪いが顔も悪く本部のマタジ女子社員からもデビル雑巾ってあだ名で呼ばれているが、からしの売り上げはそこそこ良い支店の所長で新人育成にも力入れてるけど結局口の悪い人間の姿した雑巾適度に覚えておくといいよ」
酷い言われようだ。
「そう言うけど日比谷、売り上げも社会貢献もアルパカ支店より数字は良いし有望な社員も結構育ててお前のとこよりかは存在感示してるはずだぜ」
「女子社員の人気以外はうちは完敗だな」
「人気はイーブンだろ」
梓さんの厳しいジャッジが入る。
「お前も本部の女子社員からセクハラキングと呼ばれてていつか告訴されるぞ」
「おかしぃなぁ、お互い同意のスキンシップのはずなんだがなぁ」
「セクハラする奴は大抵同じこと言うんだよ」
所長のセクハラは梓さんにだけじゃないことが良く分かった。
「もやしぃ!昨日入社したばっかりで家庭教師のバイトも兼業でやっていけるのか?訓練怠るなよ!」
「訓練?ですか」
「当たり前だろ!どんな“W”が現れても瞬殺できるように日々訓練するんだよ!武器は何使ってんだ?」
新人育成に定評があると言うのが頷ける熱い所長なのはなんとなく分かった気がした俺は特殊武器を差し出した。
「やっぱりブラックソードか!日比谷と同じ試作タイプじゃねーか!よくこんなのを新人に扱わさせるもんだ。日比谷もやっぱり鬼だな!」
「まぁまぁ、その辺りはおいおいで、うちはうちのやり方でのんびり行くから」
「のんびり育成してたら大会に間に合わねぇぞ!」
「うちは出ないから大丈夫だよ」
出勤初日、俺は元気よく遅刻した。
「遅ぇぞ新人、もう昼が来るじゃねぇか!」
なにこの人、怖い。事務所のソファに大きな態度で座っているその人に初出勤いきなり大声で指摘され萎縮してしまった。所長から十時開店の服屋でスーツを買ってその後眼鏡屋で調整をしてもらってからの出勤と言われていたのだが。
「日比谷が珍しく新入社員入れるって言うからどんな奴かと思って折角見に来てやったのに初出勤で遅ぇ。ったく」
今度は指をさして二度目の遅いという指摘。大きな声だ。その隣にはお連れだろうか俺と歳が近そうな静かに座っている。
「昨日はご苦労だったな。その後は上手くいったか?」
「は、はい。あの、成り行きで彼女の家庭教師をすることになりました」
「なに?」
所長の目つきが鋭くなった。副業禁止の会社だったのかな?特殊な仕事だし、しかも入社初日に副業決めてくるなんて非常識だったか。ゆっくり近づいてきた所長は俺の方に手をやり耳元で呟いた。
「……着替え中の写真は撮ってこいよ」
「う、うす」
「うす、じゃねーよ」
梓さんの特殊武器によって俺と所長は壁に吹き飛ばされた。
「相変わらず怖ぇなぁ水沢ぁ。俺の所の綾女川と一緒だな」
「あんなゴスロリ露出狂と一緒にしないでほしいわ」
「確かにゴスロリだが露出頻度は水沢の方が……」
「彼女の露出は品がないただのエロの欲望よ」
「お、おぅ」
大声で俺を指摘してきた人も梓さんにはタジタジになってしまっている。
飛ばされた壁から痛そうな鼻を押さえながら戻ってきた所長に紹介され、大声の人がただの態度悪い客人ではないことを知った。
「こいつは、シロクマ支店所長の火傘車仁《ひがさぐるまじん》だ」
「ヨロシクなー、もやし新人くん」
「もやしって……」
俺は自己紹介をしたがしばらくはもやしと呼ばれていた。
「こいつ、口は悪いが顔も悪く本部のマタジ女子社員からもデビル雑巾ってあだ名で呼ばれているが、からしの売り上げはそこそこ良い支店の所長で新人育成にも力入れてるけど結局口の悪い人間の姿した雑巾適度に覚えておくといいよ」
酷い言われようだ。
「そう言うけど日比谷、売り上げも社会貢献もアルパカ支店より数字は良いし有望な社員も結構育ててお前のとこよりかは存在感示してるはずだぜ」
「女子社員の人気以外はうちは完敗だな」
「人気はイーブンだろ」
梓さんの厳しいジャッジが入る。
「お前も本部の女子社員からセクハラキングと呼ばれてていつか告訴されるぞ」
「おかしぃなぁ、お互い同意のスキンシップのはずなんだがなぁ」
「セクハラする奴は大抵同じこと言うんだよ」
所長のセクハラは梓さんにだけじゃないことが良く分かった。
「もやしぃ!昨日入社したばっかりで家庭教師のバイトも兼業でやっていけるのか?訓練怠るなよ!」
「訓練?ですか」
「当たり前だろ!どんな“W”が現れても瞬殺できるように日々訓練するんだよ!武器は何使ってんだ?」
新人育成に定評があると言うのが頷ける熱い所長なのはなんとなく分かった気がした俺は特殊武器を差し出した。
「やっぱりブラックソードか!日比谷と同じ試作タイプじゃねーか!よくこんなのを新人に扱わさせるもんだ。日比谷もやっぱり鬼だな!」
「まぁまぁ、その辺りはおいおいで、うちはうちのやり方でのんびり行くから」
「のんびり育成してたら大会に間に合わねぇぞ!」
「うちは出ないから大丈夫だよ」
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