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第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い
39 美しさは正義
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「いや、梓さんは俺が言ってないの知ってるじゃないですか」
未だに獣《けだもの》を見るような眼差しを止めない梓さんを見て笑っている所長。勘弁してくれー。二人は俺が常日頃から勘違いされて変態呼ばわりされているのを知らないから呑気にしてられるが冗談が冗談で通じなくなりますよ。
「そんなに私の事言ってるのですか?」
「そりゃもう毎日曜子ちゃんの事ばかりだよ。今日はいい匂いがしたとか今日は唇がぷるんぷるんとか今日は胸が揺れていたとか」
「変態だなお前」
「言ってないじゃないですか!そんなこと言う奴なんていないでしょ!いたらホントに変態ですよ!」
所長と梓さんは悪ノリが過ぎている。曜子もやっと二人の悪ノリであることに感づいたようで笑っている。誤解が解けているなら良しとしよう。
二人も一緒に笑っている時に入り口から一人の男性が事務所に入ってきた。
その男性は背が高く色白で髪が真っ白で背中まで伸びたロンゲだったが、男の俺でもイケメンと思うほどの美形だった。外国人っぽいけどもしかしたらハーフだろうか。その男性は事務所に躊躇なく入ってきて梓さんの傍へすかさず寄って行った。
「おぉ水沢ちゃんは今日も一段と美しいねぇ」
と言いながら梓さんの髪を撫でていた。
「相変わらず豊満な胸を重力に逆らって美しさを保つ努力は怠っていないようだね」
梓さんの服の上からだが下乳の部分をさすりながら褒めているのか品定めをしているのかわからないセリフを吐いていた。
驚いたのは梓さんが全く嫌がる素振りをしないで平然としてソファにもたれ掛かっていることだった。
「お前相変わらずだけど、なんで同じ事したら俺は壁に吹っ飛ばされるんだろうか」
所長は梓さんにセクハラをしたら毎回何かしらの仕返しをされている。懲りない所長も所長だが。この男性の場合はセクハラではないってことなのだろうか。もしかしたら彼氏とか?
「日比谷君のにはエロはあっても愛がないからだよ」
「愛ねぇ」
「止《や》めろ。健全な女子高生が見てはイケナイものを見てしまったという顔で開いた口が塞がらないでいるぞ」
「やぁゴメンゴメン。君が例の女子高生かい?美しいねぇ。清純ないい匂いがする。初心《うぶ》な唇も魅力的だ。胸の大きさも申し分ない美しさだね」
居たわ、そんなこと言う奴いないって言ったの撤回だわ。
「止《や》めろ。本当の変態を見つけてしまったっていう顔で驚いているぞ」
梓さんに窘《たしな》められた男性は切れ長の眼で曜子を見ながらニコっとしてソファに座った。
イケメンなら何をしても良いのかと言いたいところだが、実際梓さんは拒否をしておらず、曜子には触れず褒めるような言葉しか発してない。同じ内容でもさっき所長が悪ノリで言った言葉を俺が仮に言っていたらただの変態扱いで処理されていただろう。やはり世の中イケメンには優しく生きられるようになっているのか??不公平であると俺は心の中で叫んだ。
「その髪、地毛ですか?」
曜子の突然の質問。その男性が誰かよりも言葉よりも梓さんに対する行為よりも気になっていたのだろうか。
「もちろん地毛だよ。美しいかい?」
「ええ、とっても」
「ありがとう。君の髪も美しいよ」
こんなやり取りを俺も自然にできるようになりたいと心底思ったがさっきまで太もも見て喜んでいたのでは到底無理だなと思ってしまった。
「紹介しとくよ。今日呼んでた私立探偵の豚平豚平《ぶたひらとんぺい》だ」
非の打ち所がないイケメンにも弱点があるのだとしたらこの可愛らしい名前だけなのかもしれないな。
「二人とも宜しく。豚平って呼んでね」
フリガナ打たなきゃどう呼べばいいかわからん。
未だに獣《けだもの》を見るような眼差しを止めない梓さんを見て笑っている所長。勘弁してくれー。二人は俺が常日頃から勘違いされて変態呼ばわりされているのを知らないから呑気にしてられるが冗談が冗談で通じなくなりますよ。
「そんなに私の事言ってるのですか?」
「そりゃもう毎日曜子ちゃんの事ばかりだよ。今日はいい匂いがしたとか今日は唇がぷるんぷるんとか今日は胸が揺れていたとか」
「変態だなお前」
「言ってないじゃないですか!そんなこと言う奴なんていないでしょ!いたらホントに変態ですよ!」
所長と梓さんは悪ノリが過ぎている。曜子もやっと二人の悪ノリであることに感づいたようで笑っている。誤解が解けているなら良しとしよう。
二人も一緒に笑っている時に入り口から一人の男性が事務所に入ってきた。
その男性は背が高く色白で髪が真っ白で背中まで伸びたロンゲだったが、男の俺でもイケメンと思うほどの美形だった。外国人っぽいけどもしかしたらハーフだろうか。その男性は事務所に躊躇なく入ってきて梓さんの傍へすかさず寄って行った。
「おぉ水沢ちゃんは今日も一段と美しいねぇ」
と言いながら梓さんの髪を撫でていた。
「相変わらず豊満な胸を重力に逆らって美しさを保つ努力は怠っていないようだね」
梓さんの服の上からだが下乳の部分をさすりながら褒めているのか品定めをしているのかわからないセリフを吐いていた。
驚いたのは梓さんが全く嫌がる素振りをしないで平然としてソファにもたれ掛かっていることだった。
「お前相変わらずだけど、なんで同じ事したら俺は壁に吹っ飛ばされるんだろうか」
所長は梓さんにセクハラをしたら毎回何かしらの仕返しをされている。懲りない所長も所長だが。この男性の場合はセクハラではないってことなのだろうか。もしかしたら彼氏とか?
「日比谷君のにはエロはあっても愛がないからだよ」
「愛ねぇ」
「止《や》めろ。健全な女子高生が見てはイケナイものを見てしまったという顔で開いた口が塞がらないでいるぞ」
「やぁゴメンゴメン。君が例の女子高生かい?美しいねぇ。清純ないい匂いがする。初心《うぶ》な唇も魅力的だ。胸の大きさも申し分ない美しさだね」
居たわ、そんなこと言う奴いないって言ったの撤回だわ。
「止《や》めろ。本当の変態を見つけてしまったっていう顔で驚いているぞ」
梓さんに窘《たしな》められた男性は切れ長の眼で曜子を見ながらニコっとしてソファに座った。
イケメンなら何をしても良いのかと言いたいところだが、実際梓さんは拒否をしておらず、曜子には触れず褒めるような言葉しか発してない。同じ内容でもさっき所長が悪ノリで言った言葉を俺が仮に言っていたらただの変態扱いで処理されていただろう。やはり世の中イケメンには優しく生きられるようになっているのか??不公平であると俺は心の中で叫んだ。
「その髪、地毛ですか?」
曜子の突然の質問。その男性が誰かよりも言葉よりも梓さんに対する行為よりも気になっていたのだろうか。
「もちろん地毛だよ。美しいかい?」
「ええ、とっても」
「ありがとう。君の髪も美しいよ」
こんなやり取りを俺も自然にできるようになりたいと心底思ったがさっきまで太もも見て喜んでいたのでは到底無理だなと思ってしまった。
「紹介しとくよ。今日呼んでた私立探偵の豚平豚平《ぶたひらとんぺい》だ」
非の打ち所がないイケメンにも弱点があるのだとしたらこの可愛らしい名前だけなのかもしれないな。
「二人とも宜しく。豚平って呼んでね」
フリガナ打たなきゃどう呼べばいいかわからん。
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