生徒会長閣下は多忙につき、令嬢の私とはなかなか会ってくれませんが......

尋近

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問い

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高等部主催の小規模パーティの打ち合わせが終わった。
荘厳な生徒会室での会合は、思っていた以上に細やかな確認事項が多く、緊張で背筋を張り詰めたまま座っていた私は、ようやく解放された安堵感に小さく息をついた。

「お嬢様、意外としっかり発言してましたね」
隣を歩くカミルが、わざと感心したような声を出す。
「当たり前でしょ。補助員って言ったって生徒会の一員として役割を持っているんだから」
「はいはい。でも、会長が頷くたびに少し嬉しそうに見えましたけど?」
「……そんなことないわよ」
即座に否定しながらも、胸の奥が少しだけざわつく。
会長が席に座っているだけで場が締まる。その声を聞くだけで不思議と背中が押されて、つい積極的に発言をしてしまった。

夕方の廊下は人影がまばらで、窓から差し込む橙色の光が、床に長い影を伸ばしていた。二人分の足音が規則的に響き、その音が会話を区切る。
カミルの燃えるような赤い髪と目が、映える。三男とはいえ侯爵家の人間、やっぱり人目を引くのは当然ね――なんて思っていると。

ふいにカミルが、持っていた資料の束を軽く抱え直し、何気ない調子で口にした。
「で――お嬢様は、会長のこと好きなんですか?」

唐突な問いに、私は思わず立ち止まった。
「……は?」
聞き間違いかと思ったけれど、彼は真顔のままこちらを見ている。

「なにを言ってるのよ」
心臓が急に早鐘を打ち始める。必死に平静を装うが、声が少し上ずってしまった。
「別に、そんなわけないでしょう」

「へえ」
カミルはにやりと笑みを浮かべる。
「じゃあ、どうしてそんなに分かりやすく動揺してるんです?」

「……っ!」
反論の言葉が見つからず、私は慌てて歩みを再開した。
「ほんとに、からかわないで」
笑いでごまかしながら前を向く。私って、そんなに分かりやすいかしら――

「そうですか。まあ、俺の目には“そういう顔”に見えましたけどね」
軽口のはずの言葉に、足取りが一瞬だけ揺れる。

振り返ると、カミルは歩きながらこちらを見ていた。
いつものように人懐っこい笑みを浮かべている――けれど、その目の奥に、かすかに真剣な色が宿っているのを見てしまう。

「……」
言葉が出ないまま、視線を逸らして歩を速めた。

――その一瞬の表情が、妙に胸に引っかかった。
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