生徒会長閣下は多忙につき、令嬢の私とはなかなか会ってくれませんが......

尋近

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王宮からの招待状

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学園の朝。
いつもよりざわめきが大きいと思えば、理由はすぐに分かった。
掲示板に貼り出されたのは――王宮からの通達だった。

《夏の舞踏会 王宮主催》
社交界における一大行事。その場に招かれることは、若き令嬢や子弟にとって大きな名誉だ。

そして、その名簿の中に――私の名も記されていた。

「……どうして、私が」
思わず小さく呟く。
編入してまだ日も浅い私が、そんな大舞踏会に招かれるなど思いもよらなかった。

けれど周囲の令嬢たちは、当然といった顔で囁き合う。
「アシュベル侯爵家なら当然よ」
「むしろ遅いくらいじゃない?」

胸の奥に、不思議なざわめきが広がった。

* * *

放課後、生徒会室に書類を届けに行くと、中から聞き慣れない声がした。
扉を開けると、そこには薄紫の髪を後ろで結び、金色の瞳を持つ青年が立っていた。

「おや、アシュベル嬢ですね」
朗らかな笑みを浮かべたその人は、王弟レオン・ヴァルディオ殿下。学院に通うもうひとりの王族だ。

「舞踏会の招待状、ご覧になりましたか?」
「……ええ、拝見しましたけれど」
答えると、殿下は柔らかな声で続けた。

「今回の舞踏会は、ただの社交の場ではありません。学院に通う私の学友との交流を深める目的もあるんです。だから、貴族の子弟に加えて、成績優秀な学院生も選ばれています」

「成績優秀な……学院生」
思わず胸に手を当てる。私が呼ばれたのは、ただ家柄だけではなく、努力も見られていたのだろうか――そんな思いが、少しだけ胸を軽くした。

「どうか気負わずに。あなたの参加は、きっと意味のあることです」
レオン殿下の言葉に、不思議と安心感が広がる。

* * *

「へえ、お嬢様。もしかして会長が推薦したんじゃないですか?」
ひょいと横から口を挟んだのは、カミルだった。
「……!」
胸が跳ねる。

「真相は本人に聞くしかないですけどね」
カミルはおどけたように笑い、書類を手渡す。

レオン殿下はそのやり取りを面白そうに眺め、やがて軽く会釈して部屋を後にした。

残された私は――胸の高鳴りを抑えられずにいた。
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