23 / 26
王宮からの招待状
しおりを挟む
学園の朝。
いつもよりざわめきが大きいと思えば、理由はすぐに分かった。
掲示板に貼り出されたのは――王宮からの通達だった。
《夏の舞踏会 王宮主催》
社交界における一大行事。その場に招かれることは、若き令嬢や子弟にとって大きな名誉だ。
そして、その名簿の中に――私の名も記されていた。
「……どうして、私が」
思わず小さく呟く。
編入してまだ日も浅い私が、そんな大舞踏会に招かれるなど思いもよらなかった。
けれど周囲の令嬢たちは、当然といった顔で囁き合う。
「アシュベル侯爵家なら当然よ」
「むしろ遅いくらいじゃない?」
胸の奥に、不思議なざわめきが広がった。
* * *
放課後、生徒会室に書類を届けに行くと、中から聞き慣れない声がした。
扉を開けると、そこには薄紫の髪を後ろで結び、金色の瞳を持つ青年が立っていた。
「おや、アシュベル嬢ですね」
朗らかな笑みを浮かべたその人は、王弟レオン・ヴァルディオ殿下。学院に通うもうひとりの王族だ。
「舞踏会の招待状、ご覧になりましたか?」
「……ええ、拝見しましたけれど」
答えると、殿下は柔らかな声で続けた。
「今回の舞踏会は、ただの社交の場ではありません。学院に通う私の学友との交流を深める目的もあるんです。だから、貴族の子弟に加えて、成績優秀な学院生も選ばれています」
「成績優秀な……学院生」
思わず胸に手を当てる。私が呼ばれたのは、ただ家柄だけではなく、努力も見られていたのだろうか――そんな思いが、少しだけ胸を軽くした。
「どうか気負わずに。あなたの参加は、きっと意味のあることです」
レオン殿下の言葉に、不思議と安心感が広がる。
* * *
「へえ、お嬢様。もしかして会長が推薦したんじゃないですか?」
ひょいと横から口を挟んだのは、カミルだった。
「……!」
胸が跳ねる。
「真相は本人に聞くしかないですけどね」
カミルはおどけたように笑い、書類を手渡す。
レオン殿下はそのやり取りを面白そうに眺め、やがて軽く会釈して部屋を後にした。
残された私は――胸の高鳴りを抑えられずにいた。
いつもよりざわめきが大きいと思えば、理由はすぐに分かった。
掲示板に貼り出されたのは――王宮からの通達だった。
《夏の舞踏会 王宮主催》
社交界における一大行事。その場に招かれることは、若き令嬢や子弟にとって大きな名誉だ。
そして、その名簿の中に――私の名も記されていた。
「……どうして、私が」
思わず小さく呟く。
編入してまだ日も浅い私が、そんな大舞踏会に招かれるなど思いもよらなかった。
けれど周囲の令嬢たちは、当然といった顔で囁き合う。
「アシュベル侯爵家なら当然よ」
「むしろ遅いくらいじゃない?」
胸の奥に、不思議なざわめきが広がった。
* * *
放課後、生徒会室に書類を届けに行くと、中から聞き慣れない声がした。
扉を開けると、そこには薄紫の髪を後ろで結び、金色の瞳を持つ青年が立っていた。
「おや、アシュベル嬢ですね」
朗らかな笑みを浮かべたその人は、王弟レオン・ヴァルディオ殿下。学院に通うもうひとりの王族だ。
「舞踏会の招待状、ご覧になりましたか?」
「……ええ、拝見しましたけれど」
答えると、殿下は柔らかな声で続けた。
「今回の舞踏会は、ただの社交の場ではありません。学院に通う私の学友との交流を深める目的もあるんです。だから、貴族の子弟に加えて、成績優秀な学院生も選ばれています」
「成績優秀な……学院生」
思わず胸に手を当てる。私が呼ばれたのは、ただ家柄だけではなく、努力も見られていたのだろうか――そんな思いが、少しだけ胸を軽くした。
「どうか気負わずに。あなたの参加は、きっと意味のあることです」
レオン殿下の言葉に、不思議と安心感が広がる。
* * *
「へえ、お嬢様。もしかして会長が推薦したんじゃないですか?」
ひょいと横から口を挟んだのは、カミルだった。
「……!」
胸が跳ねる。
「真相は本人に聞くしかないですけどね」
カミルはおどけたように笑い、書類を手渡す。
レオン殿下はそのやり取りを面白そうに眺め、やがて軽く会釈して部屋を後にした。
残された私は――胸の高鳴りを抑えられずにいた。
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
お姫様は死に、魔女様は目覚めた
悠十
恋愛
とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。
しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。
そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして……
「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」
姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。
「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」
魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について
えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。
しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。
その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。
死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。
戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。
あざとさを捨てた令嬢は、若き公爵に溺愛される
古紫汐桜
恋愛
婚約者の裏切りを目撃し、命を落とした“私”が目を覚ましたのは、
見知らぬ貴族令嬢の身体の中だった。
そこは、誰かの悪意によって評判を地に落とした世界。
かつて“あざとさ”で生きていた彼女の代わりに、
私はその人生を引き受けることになる。
もう、首を揺らして媚びる生き方はしない。
そう決めた瞬間から、運命は静かに歪み始めた。
冷酷と噂される若公爵ユリエル。
彼もまた、自らの運命に抗い続けてきた男だった。
そんな彼が、私にだけ見せた執着と溺愛。
選び直した生き方の先で待っていたのは、
溺れるほどの愛だった。
あざとさを捨てた令嬢と、運命に翻弄される若公爵。
これは、“やり直し”では終わらない、致命的な恋の物語。
一途に愛した1周目は殺されて終わったので、2周目は王子様を嫌いたいのに、なぜか婚約者がヤンデレ化して離してくれません!
夢咲 アメ
恋愛
「君の愛が煩わしいんだ」
婚約者である王太子の冷たい言葉に、私の心は砕け散った。
それから間もなく、私は謎の襲撃者に命を奪われ死んだ――はずだった。
死の間際に見えたのは、絶望に顔を歪ませ、私の名を叫びながら駆け寄る彼の姿。
……けれど、次に目を覚ました時、私は18歳の自分に戻っていた。
「今世こそ、彼を愛するのを辞めよう」
そう決意して距離を置く私。しかし、1周目であれほど冷酷だった彼は、なぜか焦ったように私を追いかけ、甘い言葉で縛り付けようとしてきて……?
「どこへ行くつもり? 君が愛してくれるまで、僕は君を離さないよ」
不器用すぎて愛を間違えたヤンデレ王子×今世こそ静かに暮らしたい令嬢。
死から始まる、執着愛の二周目が幕を開ける!
追放された聖女は旅をする
織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。
その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。
国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる