チートアイテム強奪! 残念美女が嗅ぎ付け、俺を守りにやってくる!

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エピローグアレックス

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 NWEは本日も絶好調。客席は満員で、レスラーたちは張り切って試合を行っている。

「うおらあああああ! これでとどめだああああああ!」

 アレックスがぶっとい腕を振り回して対戦相手にたたきつけると、相手はたまらずダウン。すかさず相手を抑え込むと、レフェリーがかけよってきてダウンを宣告。そのままカウントを始めた。

「ワン、ツー、スリー。この試合、アレックスの勝ち」

 レフェリーがアレックスの手を取り勝ち名乗りを上げると、会場中から歓声の嵐が巻き起こる。

 アレックスは歓声にこたえつつ、花道から控室に返っていく。

 控室で待っていたのは質問の嵐だった。スポーツ記者たちがアレックスを取り囲み、マイクを突き出す。

「見事な勝利でしたが対戦相手の印象はどうでしたか」「次の試合はいつですか」「ライオン星から追加の仲間が来るというのは本当ですか」

 記者たちは次々に質問した。

「よーし、順番に答えじゃないか。まずは……」

 アレックスは質問に答えていく。どの質問にも懇切丁寧に、時折ジョークもはさみながら饒舌に答えていたが、とある質問が来て言葉が止まった。

「ミスターオーフェンが起こした事故について大変お気の毒に思います。被害者であるアンソニーさんの消息は掴めましたでしょうか?」

 アンソニーはセントラルパークでの大乱闘以降、消息不明である。世間には神話の力について発表せず、事故で歩けなくなったショックで失踪したと説明した。電話も通じず、今どこにいるのか、なにをしているのか、全くわからない。

 自分が謝った選択をしたせいでアンソニーが大変なことになってしまった。あのときに試合を優先せず、オーフェンを止めることを選んでいれば。アンソニーのケガも失踪も俺のせいだ。アイツは俺の親友だってのに。アレックスは彼のことを考えると胸がいっぱいになり、何も言えなくなってしまった。

「私の知る限りではなにも進展なしですが、それで間違いありませんか?」

 群がる記者の一人が助け船を出してくれた。アレックスがその場所へ目線をやるとフィオナがいた。彼女は口だけ動かして「深呼吸しなさい」と伝えてくる。言葉にしたがい息を深く吸い込むと、何とか話せるようになった。

「ああ、そうだ。アンソニーの行方はさっぱりわかってない。皆も何かわかったらすぐに教えてくれ。どんな些細な情報でもいい。俺はあいつに会いたい。話がしたい。そしてまた一緒にプロレスをやりたい。だから頼む」

 記者会見は終わった。アレックスは着替えを取り出すべくロッカーに手をかけると、
「お伝えしたいことがあるのですが、少しお時間よろしいですか」

 後ろから声をかけられた。質問にはすべて答えたはずだがどういうことだ、と振り返ると、そこにいたのはフィオナだった。

「よお、お前だったのか。よく来たな。バカ丁寧な話し方するからわからなかったぞ。それで、何の用だ? お前の取材だってんなら何だって答えるぞ」

「実はあなたに見せたいものがあって」

 フィオナはそう言って一枚の紙を差し出した。それは新聞記事のスクラップで、港の写真が映っている。港は大きめの漁港といったところだろうか。いくつかある桟橋に小型から中型の船が係留されており、大型船はない。海の男も大勢映っているごく普通の写真という感じで、これを見てもアレックスはピンとくるものがなかった。

「どこに注目すればいいんだ?」

「ここよ、この人を見て」

 フィオナが指さす人物を見て、アレックスの背中が震えた。アンソニーだ。画像が荒くて少々分かりにくいが、たくましい体と親しみのある悪人面を見間違えるはずがない。

「どこだ!? ここはどこなんだ!」

 アレックスはフィオナをつかんで揺さぶった。

「ちょっと、ちゃんと説明するから落ち着いてってば。これはフロリダの財宝海岸よ。今見せたのが昨日の新聞で、一昨日のウェブカメラにもアンソニーが映っているし、三日前にはネットニュースで彼が財宝海岸にいた写真が掲載されてるわ。彼、よほど海でのバカンスが好きなのかしら。スキューバダイビングとか、釣りとか。そうは見えなかったけど」

 アレックスはフィオナが印刷してくれた紙を次々受け取り、検分する。どれもアンソニーに間違いない。足首には『ヘルメスのタラリア』が確認でき、自分の足で歩けている。大きな懸念だっただけに、アレックスの肩から大きな荷物が一つ下ろされた。

「おいフィオナ。今すぐフロリダまで行くぞ。連日通ってるからって明日もいるとは限らん。一刻も早く出発するぞ」

 フロリダの財宝海岸、と聞いてもアレックスはピンとこなかった。アンソニーがバカンスを話題にしたことなんてない。アイツは暇があれば必ず教会に行っていた。グレるなんてのもアンソニーに限ってはあり得ないし、考えてもフロリダにいる理由はさっぱりわからない。けどそんなことはどうでもいい。あいつに会いに行かなくては。

「え? 今すぐって、明日も明後日もプロレスの試合があるじゃない。あんた出場できなくなるけどいいの?」

「当ったり前だろ、アンソニーのためだぜ。おまえら、しばらく留守にするが構わないよな?」

 アレックスがそう呼びかけると、ロッカールーム内にいたNWEのレスラーたちは異口同音にこたえる。

「話は聞いてたぜ。もちろん構わん、必ずあいつを連れ戻して来い」

「いよっしゃ、流石お前らだぜ。おれがいない間NWE をよろしく頼む」

「任しときな。戻ってくる頃には今以上の超人気団体にしといてやる。お前、ちびるんじゃねえぞ」

 アレックスは話しながら着替えを済ませると、フィオナの手を取って駆けだした。その胸では自由の女神が力こぶを作っている。
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