天は百万分の二物しか与えなかった

木mori

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第一章

第九部分

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そんなこんなで、3人は中学三年生の12月という高校受験の直前期を迎えた。
湖線は冬にもかかわらず、寝苦しいと思っていた。レトロな高級振り子時計が午前3時を回った頃、湖線はようやく寝付いていた。
「こ、こい、こいと。」
若い女の子の中でも特に高い声が聞こえた。
「誰ですの、ワタクシを呼ぶのは。」
夢の中は右も左もない、モヤっとした空間である。
「こいと、こいと。」
抑揚のない声がハッキリしてきたとほぼ時を同じくして、黒い和服姿の少女が近づいてきた。
「これはいったい、なんなんですの?」
和服少女は湖線に接近するにつれて、姿が大きくなってきた。遠近法の理屈では当然である。
「こいと、こいと、こいと。」
湖線の目にも明確に和服少女の姿が映ってきた。着物には小さな青の花柄が全体にちりばめてある。チコリ、キク科キクニガナ属、花言葉は節約である。黒い髪は肩にかかる長さのおかっぱである。
真ん丸で大きな瞳は朱色に輝いている。申し訳程度の小さな鼻と思わず吸いたくなる可憐な唇。しかし、やや病的にも見える白いほっぺたは妖艶でもある。
胸は着物に隠されているためサイズはわからないが、大きくないことは明白である。和服少女は蕾のような口をわずかに開いた。
「いっぺん死んでミルフィーユ?」
「はぁ?いきなりなんですの?というか、夢に現れる黒い和服の女の子って、ま、まさかの、多重ローン地獄少女ですの!?」
「違う!無駄語、多い。時間、モッタイナイ。と言うの、モッタイナイ。」
「この小娘、いったい、何を言ってるんですの。」
「その質問、無駄、モッタイナイ。」
「ムダがお嫌いの様子はわかりましたけど。あなた、いったい何者ですの?」
「自己紹介、不要。モッタイナイ。いっぺん死んでミルフィーユ?略して、ペンシル。」
黒い和服少女は、長年使用し、先を削られまくっている汚い鉛筆を取り出して、湖線の鼻先にこれみよがしに、突き付けている。
「ギクッ、ですわ!」
黒い和服少女の勢いに押されて、ナイフで脅されているような感覚に襲われた湖線。
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