天は百万分の二物しか与えなかった

木mori

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第一章

第二十四部分

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クラスメイトは目の前で起こっている惨劇寸前の事態を無表情で見ている。鰯司には、その心の声が聞こえたような気がした。
「いい気味だわ。」「入学成績1番だって、お高く止まってるのよ。」「勝手にクラス委員長になりたいって言ってるんだから。」「自己責任よ。」
(みんないったい何を言ってるんだ。さっき入学式があったばかりで連帯感がないのは仕方ないけど、でも人として違うじゃん!。・・・人として?ま、まさか。)
奇妙な直感に動かされ、鰯司は眼を凝らしてみた。
頭部から生えた黒く鋭い角、背中には紫色の禍々しい羽根。口は耳元まで大きく裂けて、その先にある牙が凶悪に光っている。人はこれを悪魔と表現するのだろう。
(こわい、化け物だ!ここから逃げよう!)
鰯司はそう思ったが、ショックで受けたダメージが強過ぎて、足がすくんでしまった。
その時、『バシャ、バシャ』という、プールでふたりが足掻く音が聞こえてきた。
(ここから逃げる。僕には何もない。何もできない。だからいつも逃げている。それは自分から逃げるということになる。)
鰯司はプールのレーンを見た。どこかで見た光景に似ている。小さい頃、片側二車線道路で湖線さんに突き飛ばされた時、こんな感じだった。
(あの時、殺されかけた?でも僕は生きてるし。あれは本当に殺す目的だったのか?湖線さんがそんなことをするのだろうか。)
「うわあ~!バシャ!」
いても立ってもいられず、鰯司はプールに飛び込んだ。
「あわわわ、ブクブク、」
鰯司は慌てるあまり、運動神経ランク最下位、游げなかったことを忘れていた。
突然、プール全体が、太陽が南中高度を迎えたように輝いて、溺れかけていた湖線、光葉を一瞬照らした。
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