天は百万分の二物しか与えなかった

木mori

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第一章

第五十四部分

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『ペロ、ペロ。』
黒い鰯司は、愛玩犬のように、ふたりの副会長の足をなめていた。
「秀龍高校だから、選挙はアブノーマルだよぉ。アブノーマルですって!いったいどんなヘンタイプレイですの?」
「ヘンタイと言えばヘンタイ。悪魔的運動、悪魔的演説残忍な方、ウケる。不信任投票、相応しくない候補者に投票。選挙運動、悪辣さ、アピール。いっぺん投票されてミルフィーユ。」
「演説は、ひとに感動を与えるように、その意味は心を抉るような演説にするじゃん。」
「「「それって、まともな選挙じゃない!」」」
3人が一斉に苦情を申し立てたが、紅麗、明日萌は背中を向けて、まったく受け入れの姿勢を示さなかった。

こうして選挙戦が開始された。
生徒会長候補者にエントリーしてきた者は3人だけだった。一般生徒たちには様々なプレッシャーをかけて、ムダに手を上げないように生徒会側が工作していたのである。
さて、選挙にはポスターがつきものである。選挙ポスターと言えば、票を獲得しようと、腹黒い議員も笑顔を作るのが定番である。
廊下の掲示板に3枚のポスターが貼られている。湖線はムスッとしている。人気を集めたくないから、そんな表情をしているのである。
マカは首を傾けて、クエスチョンマークをアピールしている。教師と生徒を兼務しているという自分の存在への疑問を呈しているのであろうか。
その中で、一番生徒が集まってきているのが、光葉のポスターである。生徒たちはいずれも苦虫を噛み潰したような顔で、ブツブツと文句を言っている。というのも、光葉は鰯司とツーショットなのである。光葉は無表情であるが、鰯司はひきつりながらもわずかに微笑しており、それがリア充を妬む生徒の気持ちをかきむしっている様子である。
要は3枚のポスターはいずれも不人気である。ということは、不信任選挙戦略としては成功しているように見える。
選挙運動は同じ場所でのビラ配りである。候補者は同時に並ぶので、人気を測ることができる。
それぞれの候補者が自分に不信任投票をするよう、訴えかけるのである。一番嫌いな候補者に投票してもらうというものであるから、自尊心を天秤にかける側の心境は複雑である。しかし、使い魔という足枷を外せるという巨大なニンジンを前にして、3人は汚れた勝利を手にしようとするしかなかった。
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