74 / 85
第二章
第十五部分
しおりを挟む
人間界派遣レースは公募された。インターネットがないことから、回覧板による案内であり、1週間の周知期間が設けられた。なお、レース開催場所は、アパートである。
鰯司とトリス会長は、アパートで卓袱台を囲んでいた。紅麗と明日萌は出かけていた。
「レース会場、ずいぶん狭くないですか?」
「その疑問は愚問じゃ。1週間経過すればわかるじゃろ。」
そして、応募締切期日がやってきた。
怪訝な顔の鰯司は、トリス会長に質問した。
「公募したのに、参加者が3人とか少な過ぎませんか。」
「たしかに少ないな。しかし、住民には情報を提供しておるのだから、結果は厳粛に受け止めざるを得まい。日常的に、魔界の住民は外に出たがらない。外に出るとカネがかかるからじゃ。特に参加料が法外に高く、しかも失敗する可能性が高い中で、それを払ってまで参加する悪魔はまれなんじゃな。参加料を決めたのは妾ではあるがな。」
「それって、参加するなという暗黙の脅しじゃないのですか?」
「誰にモノを言っておる。妾は魔界の女王じゃ。専制君主なんじゃ。」
「結局、ほとんどの人が参加できないのに、公募とか、まさに悪魔の所業ですよ!」
「その言葉、うれしいぞ。悪魔はそうあらねばならんでな。ワハハハ。」
「ところで、レース内容はどんなものなんですか?」
「最下位を争うレースじゃ。」
「はあ?なんですか、それは。最下位なんて、なろうと思えばやる気ゼロで臨めばいいだけじゃないですか。まるで意味がありませんし、理解不能ですよ。」
「そちがどう思おうと、これが魔界の伝統なんじゃから、正しいやり方であるぞ。優勝枠はひとつ。前回、ふたり送って失敗したからのう。なお、同点はなしじゃ。」
「具体的にはどんなレースなんですか。」
「最低なことをすることじゃ。その対象は、そち、川添鰯司じゃ!」
「えええ!?」
「そんなに驚くことはあるまい。そちの力不足が原因なんじゃから当然じゃ。」
「ぐすん。そうでした、とか思ってませんけど、今の自分に自由がない以上、受け入れるしかありません。ところでいったいどんなプレイをご所望なんですか?」
「いちいちカンにさわる言い方をしおって。さらに厳しい仕打ちにグレードアップしてやるわ。」
「ひえええ!」
鰯司とトリス会長は、アパートで卓袱台を囲んでいた。紅麗と明日萌は出かけていた。
「レース会場、ずいぶん狭くないですか?」
「その疑問は愚問じゃ。1週間経過すればわかるじゃろ。」
そして、応募締切期日がやってきた。
怪訝な顔の鰯司は、トリス会長に質問した。
「公募したのに、参加者が3人とか少な過ぎませんか。」
「たしかに少ないな。しかし、住民には情報を提供しておるのだから、結果は厳粛に受け止めざるを得まい。日常的に、魔界の住民は外に出たがらない。外に出るとカネがかかるからじゃ。特に参加料が法外に高く、しかも失敗する可能性が高い中で、それを払ってまで参加する悪魔はまれなんじゃな。参加料を決めたのは妾ではあるがな。」
「それって、参加するなという暗黙の脅しじゃないのですか?」
「誰にモノを言っておる。妾は魔界の女王じゃ。専制君主なんじゃ。」
「結局、ほとんどの人が参加できないのに、公募とか、まさに悪魔の所業ですよ!」
「その言葉、うれしいぞ。悪魔はそうあらねばならんでな。ワハハハ。」
「ところで、レース内容はどんなものなんですか?」
「最下位を争うレースじゃ。」
「はあ?なんですか、それは。最下位なんて、なろうと思えばやる気ゼロで臨めばいいだけじゃないですか。まるで意味がありませんし、理解不能ですよ。」
「そちがどう思おうと、これが魔界の伝統なんじゃから、正しいやり方であるぞ。優勝枠はひとつ。前回、ふたり送って失敗したからのう。なお、同点はなしじゃ。」
「具体的にはどんなレースなんですか。」
「最低なことをすることじゃ。その対象は、そち、川添鰯司じゃ!」
「えええ!?」
「そんなに驚くことはあるまい。そちの力不足が原因なんじゃから当然じゃ。」
「ぐすん。そうでした、とか思ってませんけど、今の自分に自由がない以上、受け入れるしかありません。ところでいったいどんなプレイをご所望なんですか?」
「いちいちカンにさわる言い方をしおって。さらに厳しい仕打ちにグレードアップしてやるわ。」
「ひえええ!」
0
あなたにおすすめの小説
『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』
KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。
日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。
アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。
「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。
貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。
集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。
そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。
これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。
今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう?
※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは
似て非なる物として見て下さい
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
祈りの果てに ― 無限の箱庭で笑う者 ―
酒の飲めない飲んだくれ
ファンタジー
俺は一度、終わりを迎えた。
でも――もう一度だけ、生きてみようと思った。
女神に導かれ、空の海を旅する青年。
特別な船と、「影」の船員たちと共に、無限の空を渡る。
絶望の果てに与えられた“過剰な恩恵”。
それは、ひとりの女神の「願い」から生まれたものだった。
彼の旅路はやがて、女神の望みそのものを問い直す。
――絶望の果て、その先から始まる、再生のハイファンタジー戦記。
その歩みが世界を、そして自分自身を変えていく。
これは、ただの俺の旅の物語。
『祈りの果てに ― 無限の箱庭で笑う者 ―』
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
才能に打ち砕かれた日から、僕の最強は始まった
雷覇
ファンタジー
ワノクニ、蒼神流・蒼月道場。
天城蒼真は幼き頃から剣を学び、努力を重ねてきた。
だがある日、異世界から来た「勇者」瀬名隼人との出会いが、すべてを変える。
鍛錬も経験もない隼人は、生まれながらの天才。
一目見ただけで蒼真と幼馴染の朱音の剣筋を見切り、打ち破った。
朱音は琴音の命で、隼人の旅に同行することを決意する。
悔しさを抱えた蒼真は、道場を後にする。
目指すは“修羅の山”――魔族が封印され、誰も生きて戻らぬ死地へと旅立つ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる