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第一章
第三部分
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自宅に帰ったユリ。自宅と言ってもそこは灰兎学園の敷地内にある女子寮である。そこの一室で10畳程度の広い部屋である。
ユリは椅子に座ると、メイド服からもらったメモを拡げた。
《パンツ魔王の見かけは他の人間と変わらない。パンツ魔王はへその下に、『桃形の痣』がある。それと人間界に行くのは、のろういるすに注意。》
「なにこれ?これだけの情報でパンツ魔王を探せって言うの?ふざけてるわ。それに『のろういるす』っていったい何?」
ユリは紙をぐしゃぐしゃにして、背中にあるゴミ箱へポイ。そのまま机に肘を乗せて、外の風景を不安そうに眺めていた。
チラ、チラ、チラ。ユリの視線はゴミ箱へ泳ぐ。
ユリは丸まったメモを開いて、しっかりと形を直し、机の引き出しに入れた。
こちらは人間界の都内の郊外にある狭い通学路。比較的早い時間帯なので、急いでいる生徒はほとんど見られない。
宇佐鬼家はいつも兄妹一緒に登校している。
妹の桃羅はどんぐりを横にしたような愛嬌のある大きな瞳。ピンク色の髪は背中までまっすぐに伸びている。名前の通り、桃色の頬が実にみずみずしい。
さらにもうひとり。隣家に住む桃羅の同級生で幼なじみ、織田しのぶも登校仲間である。しのぶは胸に双眼鏡と顕微鏡をぶら下げて、天体望遠鏡を背負っている。彼女は一見中睦じい?兄妹の後ろをついている。
桃羅はしのぶを一瞥した後、愛くるしい目で大悟を見つめて、スカートの裾を軽くつまんだ。
「お兄ちゃん、モモの朝一パンツだよ!ちら!超新鮮だよ。」
「ばかやってんじゃねえ。どこの世界に妹の生娘をみたいって兄がいるんだ!」
「でもアニメじゃフツーにあるよ。」
「そんなのはエロゲーくらいだろ。現実にないからこそゲームになる。そんな兄妹は存在しないのがリアル世界だ。桃羅よ。人生のキャッチボールは、現実のスタジアムでやらないと引きこもりという敗北者になってしまうぞ。」
「引きこもりは必ずしも負け組じゃないよ。負けたところから勝利への道が開けることもあるんだよ。」
「それはたしかにそうかもしれないが。」
「だから、モモのパンツ見て、『初夜の鐘』を鳴らそうよ。」
「バカやろう!朝っぱら何言ってるんだ。」
「じゃあ、夜ならいいんだね。あはん。萌えるよ。」
「ちげーだろ!」
そんなふたりのやり取りを見ていた顕微鏡・双眼鏡・天体望遠鏡少女しのぶ。眇めた眼をさらに冷たく細くした。
「ねえ、桃ちゃん。その会話って、ただの仲のよいバカ兄妹にしかみえないけど。」
「ありがとうしのぶ。だからしのぶは親友なんだよ。てへッ。」
「別にほめてないし。」
「しのぶもお兄ちゃんにパンツ見せる?」
「えっ、ムリムリ、ゼッタイムリ!わたしのパ、パンツなんて、大悟兄さんには目の毒だよ!ねえ、大悟兄さん!」
「う、うむ。」
会話は、イケメンのサッカー部ストライカーに告白して『ごめんな』を食らった女子中学生の淡過ぎる夢のように、突然途切れた。
ユリは椅子に座ると、メイド服からもらったメモを拡げた。
《パンツ魔王の見かけは他の人間と変わらない。パンツ魔王はへその下に、『桃形の痣』がある。それと人間界に行くのは、のろういるすに注意。》
「なにこれ?これだけの情報でパンツ魔王を探せって言うの?ふざけてるわ。それに『のろういるす』っていったい何?」
ユリは紙をぐしゃぐしゃにして、背中にあるゴミ箱へポイ。そのまま机に肘を乗せて、外の風景を不安そうに眺めていた。
チラ、チラ、チラ。ユリの視線はゴミ箱へ泳ぐ。
ユリは丸まったメモを開いて、しっかりと形を直し、机の引き出しに入れた。
こちらは人間界の都内の郊外にある狭い通学路。比較的早い時間帯なので、急いでいる生徒はほとんど見られない。
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妹の桃羅はどんぐりを横にしたような愛嬌のある大きな瞳。ピンク色の髪は背中までまっすぐに伸びている。名前の通り、桃色の頬が実にみずみずしい。
さらにもうひとり。隣家に住む桃羅の同級生で幼なじみ、織田しのぶも登校仲間である。しのぶは胸に双眼鏡と顕微鏡をぶら下げて、天体望遠鏡を背負っている。彼女は一見中睦じい?兄妹の後ろをついている。
桃羅はしのぶを一瞥した後、愛くるしい目で大悟を見つめて、スカートの裾を軽くつまんだ。
「お兄ちゃん、モモの朝一パンツだよ!ちら!超新鮮だよ。」
「ばかやってんじゃねえ。どこの世界に妹の生娘をみたいって兄がいるんだ!」
「でもアニメじゃフツーにあるよ。」
「そんなのはエロゲーくらいだろ。現実にないからこそゲームになる。そんな兄妹は存在しないのがリアル世界だ。桃羅よ。人生のキャッチボールは、現実のスタジアムでやらないと引きこもりという敗北者になってしまうぞ。」
「引きこもりは必ずしも負け組じゃないよ。負けたところから勝利への道が開けることもあるんだよ。」
「それはたしかにそうかもしれないが。」
「だから、モモのパンツ見て、『初夜の鐘』を鳴らそうよ。」
「バカやろう!朝っぱら何言ってるんだ。」
「じゃあ、夜ならいいんだね。あはん。萌えるよ。」
「ちげーだろ!」
そんなふたりのやり取りを見ていた顕微鏡・双眼鏡・天体望遠鏡少女しのぶ。眇めた眼をさらに冷たく細くした。
「ねえ、桃ちゃん。その会話って、ただの仲のよいバカ兄妹にしかみえないけど。」
「ありがとうしのぶ。だからしのぶは親友なんだよ。てへッ。」
「別にほめてないし。」
「しのぶもお兄ちゃんにパンツ見せる?」
「えっ、ムリムリ、ゼッタイムリ!わたしのパ、パンツなんて、大悟兄さんには目の毒だよ!ねえ、大悟兄さん!」
「う、うむ。」
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