失楽園パンツの魔王様?

木mori

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第一章

第十二部分

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10台あるレジには中高生らしき多数の男子が並んでいた。異様なことに、全員が上気した赤ら顔で、手に小さな青い箱をひとつずつ持っていた。すべて同じ箱であるのも変である。コンビニだからそんなにたくさん買う物がないのは普通であるが、どの購入品にも銀色シール5枚か、金色のシール1枚が貼られていた。シールには、ミニスカの女の子が右手でVサインしながらウインクしているイラストが描かれている。左足を上げていて、そこから絶対領域がチラリと見えている。
 小さな軍艦巻き形の青い帽子を被った女子店員がレジにいる。長さ80センチくらいの柔らかな桃色ヘアが印象的である。襟の付きの青を基調とした制服に、スカイブルーのミニスカート姿。彼女は忙しそうにからだを動かしている。・・・コンビニレジでは動かすのは『手』だけでは?しかし、彼女は『全身運動』を展開中である。
 彼女の前には特にたくさんの客が並んでいる。カウンターから下がすべてアクリル製で、店員の全身がクリアに見えるのが特徴である。
「このコンビニではレシートがくじ付きなのですわ。レシートが出てきた時、当たれば銀色のシール、大当たりなら金色のシールが貼られています。銀色ならば5枚、金色なら1枚で、『当店オリジナルサービス引換えボックス』購入が可能となりますわ。」
 帽子を目深に被っているので、依然として顔が見えない黒髪女性は、青年実業家のような物言いをしている。
「そのなんとかいう引換えボックスで、いくらで売ってるの?」
「1個1万円です。」
「1万円!コンビニでそんな高価な物が売ってるなんて。信じられないわ。その中身はさぞかし豪華賞品なんでしょうね。」
「はい。中身は空気ですわ。」
「はあ?それって、ぼったくりじゃないの?」
「そんなことはありませんわ。この店のオリジナルサービスには男子に大いなる夢を与える、いや夢を買っていただくものなのです。」
「男子の夢?」
「そうです。看板の下に書いてあるサブタイトル『夢見るパンチラコンビニ』、これがこのコンビニのコンセプトなのですわ。そこのレジの子をご覧ください。彼女がこの店のNO1なのです。」
「お買い上げありがとうございまぁす。じゃあ、出血大サービスしちゃうからね。いや~ん。チラッ!」
 黒髪帽子の指した方にいる店員は引換えボックスを販売する度に、短いスカートの裾をつまんで、パンツが見えるか見えないか、ギリギリのところまで引き上げている。表情はマニュアル通りの営業スマイルである。本当の気持ちが込められてるかどうかはわからない。サービス業に従事する者の笑顔は、心がなくとも訓練でいかようにでもなるものなので、騙されてはいけない。
「このコンビニでバイトする店員は、あんなツンデレなことをしなくちゃいけないの?そんなの、ぜったいイヤだわ。」
 顔を顰めて、露骨に拒否るユリ。街でスカウトされた先がそういう店であれば大抵の女の子は嫌がるだろう。
「ツンデレですか。よくわかりませんが、みなさん、最初は戸惑われますわ。その前にこれをどうぞ。水分を取れば気持ちも落ち着きますから。バイト料も十分高いですから、ご満足いただけると思いますの。」
 渡されたペットボトルを一気飲みして、息を切らしているユリ。バイト料金表も確認した。お金がないので、バイトする必要性はある。他に当たるところもないので、選択肢はひとつだけ。あとは決断するのみ。パンチラするのは恥ずかしいが、パンツ魔王を選別するのに、こんないい方法はないかもしれない。パンツ魔王って言うくらいだから、パンツ大好きに違いないと思うユリであった。
「わかったわ。このバイトやることにするわ。」
「正しい判断です。他のバイトよりもはるかにあなたのパフォーマンスを生かせるものと確信しておりますわ。やり方は事務所スペースで聞いてください。」
 少々の不安感を連れて、ユリはレジ裏のスペースに向かった。
 その姿を横目で見るNO1店員。来店客へのパンチラサービスを展開しながらも冷たい視線を送っていた。

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