失楽園パンツの魔王様?

木mori

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第一章

第二十九部分

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トル台はアクリル製で透明である。下から見ていた時は、光の反射で透明に見えなかったのである。
ユリは高所恐怖症で、不安定な倒立状態であるところに、真下が見えてしまったので、すっかり気が動転してしまい、板から滑り落ち、ぶら下がり運動中。
「こ、こんなに高い場所だとは思わなかったわ。誰か、助けて~!」
両手で板の端を掴んで、ぶら下がっているユリ。落ちれば、結果がどうなるかは明らかである。
大悟は慌てて水を入れようとするが、ユリの握力が待ちきれず、右手だけが板を握っている状況。桃羅は逆さまだが、後ろを気にする素振りを見せない。
「もうすぐ、水が溜まるからそれまで待ってろ!」
「そんなに持たない!もうダメ~!」
ユリの指がスローモーションのように一本ずつ外れていき、最後の人差し指が宙に浮いた。
「きゃああああ~!」
『ガシッ!』
ユリの小さな手を掴んだ、しっかりした手。
ユリが見上げた先にあった顔は血色良好なピンク。
ユリは板にあがり、大きく息を切らしている。
「ルールでは、他者の援助行為は反則。それは助けてもらうだけでなく、助けることも意味するから、この勝負、あたしの負けだよ。」
 桃羅は自ら敗北を宣言して、三本勝負はユリの勝利となった。
「「あわわわわわ~!」」
 板には桃羅が動いた反動が残っていて、強く揺れた。
『バシャーン!』
 ユリの転落圧力を受けて水面は大きく波打った。プールにはようやく水が溜まっていた。
「た、助けて~!!!」
 ユリは泳げず、両手を上げてもがいている。桃羅は板の上で到底助けることはできない。このままではユリは溺れてしまう。
「待ってろ!」
 大悟がなりふり構わず、プールに飛び込んでいた。
「た、助かったわ。」
「よかったな。水もあまり飲んでないようだし。大丈夫だな。」
 声をかけてきた大悟を見ようとしたユリだったが、あまりに顔が近く、視線を反らしてしまった。
「べ、別に助けてほしいなんて言ってないけど。」
「そうかな。なんだか叫び声が聞こえたような気がしたけど。」
「気、気のせいよ、気の迷い、マヨネーズだわ。はッ。」
 ユリの角膜に投射されたのは、大悟のへその下にあったもの。桃型の痣であった。
 ユリは慌ててプールから出て行った。
 大悟と桃羅はあっけにとられていた。そして、賞品である無料優待券のことは忘れ去られてしてしまった。
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