失楽園パンツの魔王様?

木mori

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第二章

第八部分

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大悟の首は締まるだけで、頸動脈が鬱血でミミズ腫れのように盛り上がっている。大悟はもはや声を出すどころか、呼吸も困難となり、ぜえぜえと喘ぎ始めていた。
「あいつはパンツ魔王。ならば今日の転校生にここでやられてしまうならそれでいいわ。転校生は生徒会の一員らしいけど、生徒会もパンツ魔王を倒そうと躍起になってたのかしら。それはそうよね。人間界にも災いを起こしている輩なんだから。」
 ユリは目を瞑って、大きく息を吐き、首を2、3回廻した。
「でもこれじゃあ、アタシが食べる、いや倒す前にアイツが死んでしまうわ。てか、アイツが死んだら、アタシの使命は果たされたことになるんじゃない?これは一石二鳥、いや一石一鳥なのかな?だったら、このまま放置プレイでいいのよね。」
ユリはこっそりストーカーモードを継続していたが、なぜか膝がブルブルと震えていた。
「ア、アイツはこのままやられてしまえばいいんだからっ!このアタシの判断は天地神明に誓って天地無用なのよ!」
だんだんと言語明瞭、意味不明ゾーンに突入してきたユリ。
「そ、そうだわ。据え膳喰わぬは乙女ロードの恥曝しだったかしら?そんな格言が人間界にあるわよね。これつてどんな意味だったかしら?ええい!もうどうなってもいいわ!」
 声のトーンが大きくなったユリは、自分の声に反応したのか小首を傾げる。
「あれ?ちょっと待ってよ。カリナはパンツ魔王を倒すのは『食べること』って言ってたけど、これでいいのかしら。もし、それを転校生が知ってるとしたら、食べてしまうのかしら。それって、アタシの役割じゃないのかしら。」
 授業中にトイレにでも行きたくなった女子中学生のように、急にそわそわし始めたユリ。
「それに、食べるって、かなりヤバいんじゃないの。それはアタシがやらないと!」
 大悟を食べるというのは人間としてはたしかにヤバい、というより限りなく殺人に近いように思われる。
「そいつを食べるのはこのアタシよ!」
 鹿煎餅を狙う奈良公園の野生シカのように、ユリは騙流と大悟の前にいきなり登場した。あまりの唐突さにふたりは一瞬声が出なかった。騙流はどっちにしろ無声であるが。しかし、騙流のチェーン絞めつけは少し緩んだ。
「ユ、ユリ!どうしてここにいる?」
「ど、どうしてって、べ、別にあんたを追掛けていたとか、気になっていたとか、そんなんじゃないんだからねっ。それよりも、あんたはパンツ魔王なのよね?」
「いきなりなんなんだ。パンツ魔王だと?生徒会の連中はそう呼んでいるらしいけど、オレにそんな自覚はないぞ。」
「当たり前よ。無自覚は悪。悪はパンツ魔王よ。簡単なロジックだわ。」
「全然わけがわからないぞ。」
「パンツ魔王には反論する資格すらないわ。アタシのなすべきことはパンツ魔王を倒すことなんだから。」
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