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第一章

第十二話

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 学校を出て、道すがら、背中に話しかける。

「どうして、あの少女、ジバクと言ったけ、消滅したのかなあ?」

「現世に留まるためのグッズが、あの輪なのよ。あれが無くなれば、自動的に霊界に逝くわ。今頃、『魂』として閻魔のババアのところにいってると思うわ。」

「そうか。それからどうなるんだ。」

「閻魔は魂を地獄か天獄に送ることを決定するのよ。それが閻魔のいちばんの役割。」

「『天獄?』『天国』じゃないのか?」

「確かに人間界では『天国』と呼んでるわね。でも、霊界では『天獄』としているわ。詳しいことは知らないけど、『天獄』は地獄と大差ないらしいわ。それで多少アイロニカルに『天獄』と呼んでるようなの。」

「じゃあ、『天獄』に逝っても地獄のような悲惨な目に遭うんだろうか。」

「たぶんね。それ以上は知らないわ。あのババアにでも聞いてよ。」

「う~ん。閻魔女王は苦手だしな。」

「そうね。あまり関わらない方がいいかもね。ところで、どうしてアタシのこと、助けたの?別に助けてなんて頼んでないのに。」

「さあな。『手出しは無用なんだからねっ。』って言うから助けたんだと思うけど。」

「そ、そう。ほんと余計なことだったわ。」

「そうか。じゃあ今度から改めるか。改めついでに、呼び方だがお前ではあまりいい気がしないんだ。名前で呼んでもいいか?」

「べ、別に。好きにすれば、いいんじゃ・・・」

「そうか。ならば、由梨と呼ぶぞ。いいな?」

 回答がなかった。

『すー、はー、すー、はー』。由梨は眠っていた。疲れていたのは本当だろう。

 寝顔は見えないが、安らかそうだ。たぶん、顔を見るとかわいいと思うのではないだろうか。背中に彼女。これはフツーなら、恋愛フラグが立つところ。しかし、由梨は死んでいる。複雑だ。

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