上 下
23 / 140
第一章

第二十二話

しおりを挟む
 
『パチパチパチ』。


 人形の小さな手が拍手をする。


 なかなかかわいいとも見えるが表情はない。


 儀礼的なモノであるのは明白だ。


((なかなかやりはりますなあ。合格どす。))


「何だ、合格とは。」


((うちと同じどす。うちは本体は喋りまへん。))


「それって、見たらわかるけど。もしかして・・・。」


((そう。自閉症どす。それが治らないまま現世を去ったんどす。))


 さらりと重たいことをおっしゃる絵里華さん。


「これはいったい何なんだ?」


((見た通りどす。過去と現在が交錯してるんどす。意味はあるんどす。それだけで、あまり深く考えてはいけないんどす。))


「そうなのか。まあ、あまり悩まないタチなので。後天的にそうなったのだが。」


((それはいいこと。では今晩8時にここに来てくれなはれ。))

しおりを挟む

処理中です...