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第二章

第十話

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「こら、絵里華、余計なことをいうんじゃない。」


 美緒は怒ったような口ぶりであったが、額は『恥』となっていた。


『おいおい、そなたたち、何を身内で騒いでおる。呼んだのは日乃本都じゃったはずだが。まあいいわ。そんなことより、我らと遊んでいかぬか。』


 四人のうち、ひとりが前に出てきた。見る限り男である。顔と目が細長く、小さな鼻髭があり、いかにも神経質そうな感じである。美緒は間合いを取った。15メートル下がったのである。そして、糸電話。自分のカップにつながる糸から、4本の糸が分岐している。つまり、1対4である。


『貴様も武将ジバクのはしくれなら、まず名を名乗れ。』


 美緒の額は『男(凶)』と表示。


『なんだこれは?と言いたいところだが、糸電話だな。』


 戦国時代にこんなものはない。でもジバク。現代の知識も十分保有している。


『別に名乗るほどの者ではないが、そういうならお答えしよう。ワシは信長。そこにいる三人は秀吉、家康、光秀じゃ。』



 そういえば歴史の教科書に出ているあの有名人にソックリである。なお、彼らも額に、『信』『秀』『家』『光』と書いてある。これはわかりやすい。繰り返しの疑問であるが、生徒会ではないのか?
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