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第二章

第十二話

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『そんなことでよければ構わない。もっともこ神はバトルの方がやりたかったがな。』


『ではいいのだな。それでは始めるぞ。』


 信長がそう言った途端に、墓場にクイズ会場ができあがっていた。パネルクイズ形式のようだ。左右に、ジバクチームと美緒たちチームに分かれている。パネルの中に、各選手が座っている。パネルには名前が書かれている。パネルといっても大きな墓石でできており、それをくりぬいて空洞を作っている。そこに入る仕組みである。


 草書体で、空洞の上の方に縦書きで『信長之墓』『秀吉之墓』『家康之墓』『光秀之墓』とある。向かい側に『美緒之墓』『絵里華之墓』『由梨之墓』『万?之墓』。都のはない。つまり、オレはなぜかゲームから外されてしまった。美緒たちは死んでいるが、オレはいちおう生きた人間なので墓はない。そのステータスの差か。しかし、元々呼ばれたのはオレなんだが。まあ、こんな勝負には出ないに限るが。


 会場の真ん中に人影、いやジバク影が現われた。黒い眼帯をしている。隻眼のようだ。こいつも大層立派な兜、甲冑姿である。兜で顔はよく見えない。


「レディース&ジェントルマン。俺が司会者だ。文句あるか。」


 いきなり登場したにもかかわらずケンカ腰である。でも回りに何も言わせないオーラがある。


「何の前触れもなく、出てきて不躾であろう。貴様何者だ。」


 パネルに入って、男たちとの距離が許容範囲内となったので、美緒は糸電話会話を解除していた。


「俺は生徒会長政宗だ。以上。」


「なんとシンプルな。いちおう貴様が生徒会長か。他の四人が生徒会役員というわけだな。なるほど。眼帯をしているのはそういう理由か。わかった。」


 美緒は何がわかったのか。
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