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第三章

第五話

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「アタシを見ても驚かないんだね。というより、あんた自体が人間でないし、アタシと同類だね。そんな人じゃないや、そんな霊を探していたんだよね。やっと出会たわ。」


((どういうことどす?霊を探すジバクはん?そんなの聞いたことないどす。どういう意味なんどす?))
 はてなマークを空中に書くアルテミス。


「そんなことどうでもいいでしょ。そうね、せめて名前だけでも名乗っておくわ。アタシは『嘘つき少女』よ。」
 胸を張るジバク。小柄ではあるが、胸サイズはそこそこ。絵里華には負けるが、由梨には勝っているようだ。

「ハクション。どこかで、あたしの噂をしているようだわ。やはりセレブは人気者ね。」
 生徒会室で、由梨が自慢げにひとりごちた。

「あなた、その胸はホンモノみたいね。でも、その巨乳を生かすような相手、つまり彼氏だけど、いないわね。」


((いきなり、濃い話題を振ってきたどす。初対面なのに、失礼どす。))


「人間じゃないんだから、失礼もへったくれもないわ。その意気の巻き方、やっぱり彼氏はいないんじゃないの?」


((そ、そんなことないドス・・・。))


「急に声が小さくなったわね。じゃあ聞くけど、その彼氏の名前を言ってごらんなさいよ。」


((・・・。))
 本体は元々無言。加えて人形も沈黙してしまった。
「ほら、言えないじゃない。」


 ジバク少女は勝ち誇りのポーズ。Vサインを絵里華に提示。


((むむむ。じゃ、じゃあ言うどす。))


「彼氏の名前は?」


((名前はひ、ひ、ひ。))


「笑ってるの?」


((そうじゃないどす。ひ、ひ、日乃本、都どす。))


『シュウウウウウ』。低く暗い音が聞えた。
『バタン』。絵里華はその場に倒れた。


「成功したわ。あ~良かった。ルンルン。」
 ジバク少女はその場から消えた。
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