上 下
121 / 140
第四章

第二話

しおりを挟む
 一方、男子更衣室では、同じく浮輪で救われた女子生徒がいきなり、着替え始めて、大量の鼻血を出して倒れる男子生徒が続出。こちらは真面目な生徒から、連れ出されていた。
 異変はそれだけでは済まなかった。


「ただいま。」
 帰宅したある男子生徒。出迎える母親。


「ママ、お腹空いたよ。早くごはん食べたいな。」
「あなた、誰?うちの娘と同じ学校の男子制服着てるようだけど。」
 女子生徒の家ではこの逆のことが発生していた。

執事李茶土の声がマイクもないのに、生徒会室に反響する。執事の声は良く通るのか。

「今お話したのが、現世のとある学校のプールでの事件です。こうした前代未聞の事件がいくつも発生したのです。学校側が溺れた生徒たちと面談すると、どうも一緒におぼれたものの魂が入れ替わるというとんでもない事件のようなのです。男女が入れ替わると困りますよね。仕方なく学校側は魂優先で、表面女子、内面男子であれば、男子として扱います。変な話ですが、男子ばかりの家に、娘が来て家族が喜ぶというような奇妙な事象が生じています。でも大半は困っている。魂優先なので、男子が女子の着替えに混じる。その逆もありです。そのうち、なりすましも登場し、大混乱を招いています。この事件を解決するようにとの閻魔女王様のご指示が出ております。」 


 嘘つき少女・真美の事件が解決?したのもつかの間、新たな事件が勃発した。生徒会室に集まる四人とオレ。絵里華はすっかり元気になっていたが、オレは夢遊病者のようにふらふらしている。当面の策は検討未了のうちに、次の指令が来てしまったという状況である。しかし、事件解決って生徒会の仕事?


「そういうわけでこんな指令が出てしまったので、とりあえずやるしかない。状況を確認するためにはまずは実際に行ってみないと。みんないいかな?」
 美緒は副会長としてしっかりと仕切っている。


((わかりましたどす。))「どうしてもっていうなら行かなくもないわ。」「美緒たんと一緒だよ。」「・・・。」


 オレは無言だが、生徒会長なので当然同行することになっている。生徒会長ってこんな軽いポストだっけ。
しおりを挟む

処理中です...