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第四章

第二十一話

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「そのネコミミを被っているものに都さんが憑依してそのカラダを都さんのものとすればよいのです。」

「で、でもそうするとカラダのすべてを都に支配される。つまり、カラダを都に見られると同じこと?」

「そうなります。」

「セレブのからだを?そんなのいやだわ。」

「いやならやめればいいですが。」

「なんちゃってセレブ女とキスだって、桃もいやよ。」
桃羅も反発。

「女同士なんて神にも許されまい。」

((うちも家訓に反するどす。))

「さすがにまっほも考えちゃうな。」

「仕方ないなあ。じゃあをねゐさんがやる!」
 唐突に閻魔女王が出現。今の一言を言うや否や、女王がネコミミを自ら被り、桃羅を自分の方に手繰り寄せる。

「今だ、都ちゃん。」

「おう!」
ブチュー。オレの全身が戻った。みんななにが起こったかわからず。桃羅も呆気に取られていた。

「久しぶりにキスしたねえ。いや女子とキスしたのは初めてかな?ははは。」
 閻魔女王は能天気に頬を緩めた。桃羅は何が起こったのかわからず頭が真っ白。

「アタシのファーストキスはこのひと?いやあああああああ」
 オレは全身をくまなく触る前に確認をした。胸ある、下ない。つまり、ネコミミになる前の状態に復帰したというところだ。とりあえず根本的な解決は先送りだがひと安心。

「とにかく元に戻ってよかったね。じゃあ、をねゐさんはこれで。」

「いきなりやってきて、また霊界に帰るんだな?人間界と霊界、そんなに簡単に出入りできるのか。」
 元に戻ったオレは何か嬉しげな閻魔女王に話しかける。

「そうだよ。前に言ったように、をねゐさんの力が弱まって、あちこちに歪みができているんだよ。学校の校舎が5F建てになっちゃったし。」

「そうだったな。じゃあ気をつけて。」
 閻魔女王は押入れを開けた。

「ちょっと待て。どこから帰るんだよ?」

「ここに新しい階段ができてるんだよ。ここから霊界に戻る。」

「なんだと!」
 オレは慌てて、閻魔女王の後を追った。階段を上るとそこでは執事李茶土とメイドがトンカンと作業をしていた。すると2階建がいつの間にか3F建てに変わった。

「よし、今日からをねゐさんは3Fに住むよ。」

「ちょっと待ってくれ。それじゃあ、毎日家に入り浸りになるじゃないか。」

「学校の仕事もあるし、をねゐさんにはちょうどいいよ。それにここにいるもうひとつの理由ができたよ。」

「何だそれは?」

「新しい閻魔女王候補も見つかったし。桃羅ちゃん。をねゐさんたちが見えてるし、何より、素晴らしい言霊能力があるよ。」

「桃羅が閻魔女王候補だと?」

「そうだよ。をねゐさんは大いに楽しみだよ。」
 4枚のトリガーカードを開いて見せて、閻魔女王はニヤリ。

「まさか、ここに3Fができたのもそのせい?」

「都ちゃんの呪いを解くとは、さすがトリガーカードの力だね。都ちゃんを元に戻しただけでなく、次元の再構築をしたみたいだよ。」
 オレは次の言葉を失った。
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