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第三章
第十七部分
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大王寺製薬が倒産して、数日間が経過した。ここはやや大きめな戸建て住宅である新堂家ダイニング。
「オニイチャン。あんなは喉が乾いたので、普通のリンゴジュースが飲みたいでちゅ。」
「あたいも追加な。」
「かしこまりました、お嬢様。」
遼斗は冷蔵庫から取り出して、安売りの紙容器リンゴジュースをコップに2杯ついで、お盆に乗せた。
「あわわ。ガシャーン。」
「オニイチャン。予想外に使えないでちゅ。」
「ホント、あたいも彼がこんなにダメダメ王子とは思わなかったなあ。」
杏名と理世に非難される遼斗。
「申し訳ありません。」
謝罪の言葉を口にするものの、目には口惜しさが鈍く光っていた。
「もう、しょうがないわね。まったくのダメ執事だわ。生まれてからずっとチヤホヤされてきたことの報いだわ。ここで働いて、これまでの身勝手な行為の罪滅ぼしでもやればいいわ。」
汚れた床を拭くのを手伝う玲羅。
遼斗を罵る口ぶりとは裏腹に、表情は暖かそうに緩んでいた。
大王寺製薬が倒産して、メイドたちは玲羅たちを含めて、全員解雇された。遼斗も次期当主の座から滑り落ちて、ただの人に成り下がった。それどころか、屋敷も失い、雨風を避ける場所もない流浪の民と化していた。
玲羅は王妃待遇だったことから、やむを得ず、遼斗の身請けをしていた。玲羅は新堂家に戻り、遼斗は新堂家の執事という名の家事手伝い補助をやっていた。
遼斗は床を拭きながら、小声で不満をぶちまける。
「どうしてオレがこんなことをやらなくちゃいけないんだ。しかもついこの前までは、オレに面会すら困難だったような虫ケラに命令されて地べたを這うなんて、屈辱の極みだ。いつか必ず大王寺製薬を復活させて、王座に腰掛けて、コメツキバッタにさせてやるんだからな。」
「しっ。あまり大きな声を出すと、お姉ちゃんたちに聞こえちゃうわよ。遼斗は今の立場をちゃんとわきまえないと、ケガするわよ。ここでじっとしていれば三食と寝泊まりには不自由しないんだから。また路頭に迷って、ゴミ箱が友達という生活に戻りたいの?」
「そ、それだけはいやだ!あの3日間は二度と思い出したくない。これでガマンする!」
「そうそう。それでいいのよ。遼斗はあたしの下僕としての明るい現実を謳歌すべきなのよ。」
「ううう。」
遼斗は嬉しさという隠し味入り悔しさスパイスが効いて涙していた。玲羅は遼斗に見えないように、微笑んでいた。玲羅はささやかな遼斗との日常に満足だった。
「オニイチャン。あんなは喉が乾いたので、普通のリンゴジュースが飲みたいでちゅ。」
「あたいも追加な。」
「かしこまりました、お嬢様。」
遼斗は冷蔵庫から取り出して、安売りの紙容器リンゴジュースをコップに2杯ついで、お盆に乗せた。
「あわわ。ガシャーン。」
「オニイチャン。予想外に使えないでちゅ。」
「ホント、あたいも彼がこんなにダメダメ王子とは思わなかったなあ。」
杏名と理世に非難される遼斗。
「申し訳ありません。」
謝罪の言葉を口にするものの、目には口惜しさが鈍く光っていた。
「もう、しょうがないわね。まったくのダメ執事だわ。生まれてからずっとチヤホヤされてきたことの報いだわ。ここで働いて、これまでの身勝手な行為の罪滅ぼしでもやればいいわ。」
汚れた床を拭くのを手伝う玲羅。
遼斗を罵る口ぶりとは裏腹に、表情は暖かそうに緩んでいた。
大王寺製薬が倒産して、メイドたちは玲羅たちを含めて、全員解雇された。遼斗も次期当主の座から滑り落ちて、ただの人に成り下がった。それどころか、屋敷も失い、雨風を避ける場所もない流浪の民と化していた。
玲羅は王妃待遇だったことから、やむを得ず、遼斗の身請けをしていた。玲羅は新堂家に戻り、遼斗は新堂家の執事という名の家事手伝い補助をやっていた。
遼斗は床を拭きながら、小声で不満をぶちまける。
「どうしてオレがこんなことをやらなくちゃいけないんだ。しかもついこの前までは、オレに面会すら困難だったような虫ケラに命令されて地べたを這うなんて、屈辱の極みだ。いつか必ず大王寺製薬を復活させて、王座に腰掛けて、コメツキバッタにさせてやるんだからな。」
「しっ。あまり大きな声を出すと、お姉ちゃんたちに聞こえちゃうわよ。遼斗は今の立場をちゃんとわきまえないと、ケガするわよ。ここでじっとしていれば三食と寝泊まりには不自由しないんだから。また路頭に迷って、ゴミ箱が友達という生活に戻りたいの?」
「そ、それだけはいやだ!あの3日間は二度と思い出したくない。これでガマンする!」
「そうそう。それでいいのよ。遼斗はあたしの下僕としての明るい現実を謳歌すべきなのよ。」
「ううう。」
遼斗は嬉しさという隠し味入り悔しさスパイスが効いて涙していた。玲羅は遼斗に見えないように、微笑んでいた。玲羅はささやかな遼斗との日常に満足だった。
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