異次元で女子物色をほどほどに抑えなかった結果、

第三章

第二十八部分

遼斗と王子はお互いの顔を見合わせて、合わせ鏡のように眉根を寄せた。
「「ちょっと待てよ。コイツはいったい誰なんだ？」」
互いにまっすぐに腕を伸ばして、相手を指した。
「「何かおかしい、絶対的におかしい！二組の同じ顔カップルの存在するとは異常だ。時空に歪みが発生したのか、特異点なのか？」」
遼斗と王子は慌てふためいてきた。
「俺の、」「オレの」「「女子はこっちだ！」」
特異点の議論を始めることなく、女子の争奪戦が始まった。
その時、再び玲羅のガラス水着が光を放った。さっきの百倍の明るさに、会場全員が視界を失った。
しばらくして視界が回復した時、ステージから王子、シンディ、凛子が消えて、遼斗、玲羅、元メイド長が残っていた。

【エピローグ】
玲羅は赤メイド服を着て、屋敷の掃除をしていた。
「白い王子が来た時の遼斗の発言はいったいなんだったのかしら。もしかしたら、アルバイトなんかしなくてもいいようなセレブリティ生活が待ってかもしれないのに。あ～あ。あの白い王子の彼女になった方がよかったわ。」
玲羅は溜め息をつくのが止まらなかった。

お城ではシンディがガラス水着で廊下を歩いていた、
「はあ。王子様のシュミに合わせるのは大変だわ。こんな恥ずかしい格好でお屋敷を歩かないといけないんだから。すごくイヤだわ。」
シンディの眇めた目の先には王子がいた。
王子がガラスのパンツという派手だが恥ずかしい格好で掃除していた。
「あんなのがアタシの王子様だなんて悲しいわ。この世界では彼氏のことを王子様って呼ぶんだけど、よりによって、こんなヘンタイシュミでただの庶民がアタシの王子様になってしまったなんて。外に出せないからウチの下男として使ってるというこの悲惨な状況。あ～あ。他の次元に飛んでいきたいわ。」
シンディの嘆きは一軒家中にこだましていた。

「「やはりこれを使うしかないわね。」」
玲羅とシンディ。次元を超えてハモったふたりは薄い本を手にしていた。