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第一章

第四十二部分

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「まずはコーヒーカップに乗りましょう、ごきげんよう。」
鳴志司はゆっくりとカップに乗って椅子に背を持たせた。一方、ゆめはメイド服なので、横に立つだけ。というより、真正面は恥ずかしい。
「酔ったわ。あ~れ~、ごきげんよう。」
余裕ある酔いで、ゆめは鳴志司に倒れこんだ。
「大変だ!」
なぜかうまい具合に、遊具のそばにテントが設置されていた。
「お客人、病人はこちらに運ぶのだ。患者用のベッドを用意してるのだ。」
ナース姿の楼里がうれしそうに、ゆめを肩で庇う鳴志司を手招きした。
「「「「「小学生がコスプレしてるぞ。かわいいなあ。」」」」」
遊園地に不釣り合いなオタク男子たちが楼里を取り囲んで、楼里は身動きが取れなくなった。
楼里はテントに入ると、目を白黒させた。
そこにあったのは、ダブルベッドとふたつの枕、並びにけばけばしい光を放つミラーボールだった。
「ダブルベッドは想定外だわ!で、でも会長がどうしてもって言うなら。」
ゆめは大胆にもベッドでマグロ状態で横たわった。
「これでいいのかしら。」
大規模に変な方向に傾くゆめは頬をパシッと叩いた。
「いやいや、ダメダメ。あんあんなコトや損なコトは、得することが明瞭になってからよ!」
いちおう、冷静になって損得勘定に走ったゆめ。
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