魔法少女は枕営業から始めなければならない

木mori

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第一章

第一部分

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白地に縦二本の赤ストライプセーラー服の美少女、『真北千紗季(まきた ちさき)』。プリーツスカートの裾と黒く艶やかな長い髪をわずかに揺らしながら、電柱の陰に隠れて、漆黒の瞳を吊り上げ、さかんに目をしばたかせながら、頭をかいている。
「よ~し。今日こそ、アタシの幼なじみにして、夢の中では執事兼恋人の『三浦朋樹(みう
らともき)』に告白してやるから、感謝して、こうべを垂れて全力で地面に叩きつけて、血
みどろになるのよ!」
わりと暴力的な告白宣言をしながら、登校路を睥睨している千紗季。
「あれ?朋樹がカバンからタブレットを取り出して何かを見てるわ。きっと、盗撮したアタシの水着姿ね。朝イチで発情させてしまうのはアタシのボディが悩殺し過ぎるからね。罪なスタイルだわ、逮捕されそう。」
千紗季はすでに妄想モードに入っている。ちなみに千紗季のスリーサイズは、上から『72、55、80』であり、悩殺性としてはクビレの強度は相応であるが、上部はかなり脆弱で赤点である。
千紗季の前を歩いている学ランの中学三年生男子は短めで整った茶色の髪。真面目そうな細い目に、気弱そうな鼻、子供のような赤いほっぺを朝日に光らせている。
「よし、今日こそ、決めるわ。がぶり寄りで押し倒すんだからっ!」
横綱相撲を企図して、張り手の構えを見せている千紗季は朋樹との間合い約10メートルを一気に詰めて、朋樹に面と向かい合い、そして言葉をぶつけるために、大きく息を吸って、そのまま吐いた!
「ア~、アタシ、朋樹のことが、す、す、すき」
その瞬間、朋樹の手にしていたタブレットのマジドル水着画像が千紗季の目に入った。
「すき、スキあり!朝っぱらからいったい何見てるのよ。うわわわ~。バシッ!」
「いてっ!今朝もアタマごなしだよ。これで連続50日なんだけど!」
千紗季はカバンで朋樹の頭を殴ってそのまま学校へ疾走した。
「どうして朋樹はアタシのことを見てないのよ。これだけ思ってるのに~。」
「千紗季、ボクのこと、本気で嫌いなんだなあ。ホント悲しいよ。だからボクはマジドルに逃げ道を求めているのかなあ。」

学校に着いた千紗季はいちばん後ろの窓際席に座った。
千紗季に少し遅れて、朋樹は宝くじが当たりそうな真ん中最前列にカバンを置いた。カバンには無数のマジドル缶バッジがバイキンのように付着している。その瞬間、ギクッとなった朋樹。左後ろ斜め45度からの猛烈な殺意を感じていた。
「またも告白失敗、告白失敗、告白失敗~!」
ブツブツ呟いている千紗季。それは千紗季の敗北オーラ。
「もう中学三年生の2月なのに。このままじゃ、春を迎えることなんてできないわ。みんなは心が躍るのに、アタシだけマイナス思考が踊り狂ってるわ!」
声も気持ちも想い人に届かない千紗季。
「ちょっと千紗季。あとで話があるんだけど。」
隣の席から話しかけてきて赤いメガネのおかっぱ少女。鼻や口も小さめでかなり地味で、モテない女子の先頭を余裕で走りそうなタイプである。
地味女子は他の生徒に聞こえないようにこっそりと話しかけているのは千紗季の友達の『綾杉(あやすぎ)つかさ』である。
「わかったわ。でも慰めとかならいらないわよ。」
「そんなんじゃないよ。告白50連敗で記録更新したことはわかるけど。」
「キズあとに激辛子明太子を乗せるんじゃないわよ!」
「そんな食べ物にバチ当たりなもったいないことしないよ。」
「男子にはエロサドバトルがあるのよ。エロサドバトルとはこういうことよ。思春期男子脳内の99パーセントを占めるエロは、アタシのようなナイスバディ美少女を視姦することで著しく攻撃的なサドに変わり、女子を凌辱することに覚醒し、それはドメスティックヴァイオレンスへ発展するのよ。だから告白は慎重にやらないといけないのよ。」
エロサドバトルのネガティブ思考が、千紗季を告白から遠ざけていたのである。

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