39 / 68
第一章
第三十八部分
しおりを挟む
「もちろんわかるわけないよ。」
「そうでしょ。それならもう用はないわ。アタシは人を殺したのよ。アタシが殺した相手はもう戻らないわ。帰ってよ。」
「アイドル辞めるかどうかは勝手。ほかにもマジドルはいるけど、モンスターと戦っている以上、傷つく者や死に方みんな仲間の死を乗り越えて使命を果たしている。他人の死の向こうに見えるもの、それは自分の生、ここであんたが死ぬのは構わないが、自殺するのは代わりに死んだ人間を冒涜することではないか、他人の目の前で死ぬことはその人に命を預けること、死んだ人間から預った命は自分だけの命じゃないよ。」
「うっ。たしかにそうかもしれないけど、でも・・・。」
千紗季は言葉に詰まってしまった。
「千紗季、これを見るんだよ。」
つかさは一枚の写真を千紗季の暗い顔の前に晒した。
「こ、これは朋樹の写真!?」
それはステージの最前列に立って、ヲタ芸をセンターに披露しているシーンであった。
千紗季の顔色が一瞬紅潮した。
「それが何なのよ。」
「じゃあ、あたしは帰るよ。」
つかさは楽屋出入口にさしかかった時、ほんのわずかに目配せした。そこには、もうひとりの人間がいた。
その人間は、楽屋の出入口で、奥にいる千紗季に顔を向けた。パーテーションがなくなって、椅子に座っている千紗季の姿が露わになっていた。
出入口の人間は、なぜか指を立ててポーズを取った。
「何あれ。励まし?バッカじゃないの。」
出入口から人影は消えていた。
「朋樹、来てくれたんだ。」
千紗季の表情に血の気が復活して体温を上げていた。
こちらはゲリラの宮殿。
「市長はモンスターになったけど、結局死ななかったなあ。これじゃあ、社会を大混乱させることができないぞ。」
「そりゃそうですよ。真のマジドルじゃなくて、地下ドルではバトルレベルが低過ぎますから。闇雲にモンスターを発現させても魔力の無駄遣いですよ。我々は自分たちで直接人類を攻撃するのではなく、夢枕モンスターの出現による社会の混乱が目的ですから。手段であるモンスター発現はよく考えて行動しなあとダメですよ?」
「じゃあ、妾はどうすればよいのじゃ?」
やはりソファーに横たわったままのメイドが無表情で答えた。
「次のターゲットはマジドルそのものにしましょう。」
「そんなことをしたら、モンスターを倒す者がいなくなるではないか。」
「モンスター自体を世界に解き放つのはどうでしょう。ゾンビ映画のような恐怖のカオス状態が起これば、世界は一気に大混乱ですよ。」
「それはいいアイデアじゃのう。」
「それでは、魔法少女省のマジドルに、たくさんのモンスターが倒されてますよ。そいつをターゲットにしましょう。」
「そうでしょ。それならもう用はないわ。アタシは人を殺したのよ。アタシが殺した相手はもう戻らないわ。帰ってよ。」
「アイドル辞めるかどうかは勝手。ほかにもマジドルはいるけど、モンスターと戦っている以上、傷つく者や死に方みんな仲間の死を乗り越えて使命を果たしている。他人の死の向こうに見えるもの、それは自分の生、ここであんたが死ぬのは構わないが、自殺するのは代わりに死んだ人間を冒涜することではないか、他人の目の前で死ぬことはその人に命を預けること、死んだ人間から預った命は自分だけの命じゃないよ。」
「うっ。たしかにそうかもしれないけど、でも・・・。」
千紗季は言葉に詰まってしまった。
「千紗季、これを見るんだよ。」
つかさは一枚の写真を千紗季の暗い顔の前に晒した。
「こ、これは朋樹の写真!?」
それはステージの最前列に立って、ヲタ芸をセンターに披露しているシーンであった。
千紗季の顔色が一瞬紅潮した。
「それが何なのよ。」
「じゃあ、あたしは帰るよ。」
つかさは楽屋出入口にさしかかった時、ほんのわずかに目配せした。そこには、もうひとりの人間がいた。
その人間は、楽屋の出入口で、奥にいる千紗季に顔を向けた。パーテーションがなくなって、椅子に座っている千紗季の姿が露わになっていた。
出入口の人間は、なぜか指を立ててポーズを取った。
「何あれ。励まし?バッカじゃないの。」
出入口から人影は消えていた。
「朋樹、来てくれたんだ。」
千紗季の表情に血の気が復活して体温を上げていた。
こちらはゲリラの宮殿。
「市長はモンスターになったけど、結局死ななかったなあ。これじゃあ、社会を大混乱させることができないぞ。」
「そりゃそうですよ。真のマジドルじゃなくて、地下ドルではバトルレベルが低過ぎますから。闇雲にモンスターを発現させても魔力の無駄遣いですよ。我々は自分たちで直接人類を攻撃するのではなく、夢枕モンスターの出現による社会の混乱が目的ですから。手段であるモンスター発現はよく考えて行動しなあとダメですよ?」
「じゃあ、妾はどうすればよいのじゃ?」
やはりソファーに横たわったままのメイドが無表情で答えた。
「次のターゲットはマジドルそのものにしましょう。」
「そんなことをしたら、モンスターを倒す者がいなくなるではないか。」
「モンスター自体を世界に解き放つのはどうでしょう。ゾンビ映画のような恐怖のカオス状態が起これば、世界は一気に大混乱ですよ。」
「それはいいアイデアじゃのう。」
「それでは、魔法少女省のマジドルに、たくさんのモンスターが倒されてますよ。そいつをターゲットにしましょう。」
0
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
忘れ去られた婚約者
かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』
甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。
レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。
恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。
サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!?
※他のサイトにも掲載しています。
毎日更新です。
《完結》氷の侯爵令息 あなたが子供はいらないと言ったから
ヴァンドール
恋愛
氷の侯爵令息と言われたアラン。彼は結婚相手の伯爵令嬢にとにかく冷たい態度で接する。
彼女は義姉イライザから夫が子供はいらないと言ったと聞き、衝撃を受けるが気持ちを切り替え生きていく。
結婚して3年経っても子供ができないという理由で離縁されたエマは、前世の記憶を思い出して幸せになる。周りが勝手に復讐してくれました。
山田 バルス
恋愛
結婚三年目の春、エマは伯爵家の夫アンドレオから突然、側室を迎える話を告げられる。子をなせなかったことを理由に、彼女は僅かな補償のみで離縁された。妻として過ごした三年間は「無価値だった」と突きつけられ、エマは貴族社会から静かに切り捨てられる。
また実家の父母の墓参りに行くと、当主になっていた兄に離縁金を奪われてしまう。
大ピンチのエマには、秘密があった。なんと彼女は幼少期に前世の記憶を思い出していたのだ。
かつて観光地で石を磨き、アクセサリーを作り、人に喜ばれる仕事をしていた人生。何も持たない今だからこそ、もう一度「自分の手で生きる」ことを選び、あの人が住む商業国家スペイラ帝国へ向かう決意をする。
国境への道中、盗賊に襲われるが、護衛兵ロドリゲスの活躍で難を逃れる。彼の誠実な態度に、エマは「守られる価値のある存在」として扱われたことに胸を打たれた。
スペイラ帝国では身分に縛られず働ける。エマは前世の技術を活かし、石を磨いてアクセサリーを作る小さな露店を始める。石に意味を込めた腕輪やペンダントは人々の心を掴み、体験教室も開かれるようになる。伯爵夫人だった頃よりも、今の方がずっと「生きている」と実感していた。
ある朝、ロドリゲスが市場を訪れ、エマの作ったタイガーアイの腕輪を購入する。ところがその夜、彼は驚いた様子で戻り、腕輪が力を一・五倍に高める魔道具だと判明したと告げる。エマ自身は無意識だったが、彼女の作るアクセサリーには確かな力が宿っていた。
後日二人は食事に出かけ、エマは自分が貴族の妻として離縁された過去を打ち明ける。ロドリゲスは強く憤り、「最悪な貴族だ」と彼女と一緒になって怒ってくれた。その気持ちが、エマにとって何よりの救いだった。彼は次に防御力を高める腕輪を依頼し、冒険者ギルドで正式な鑑定を受けるよう勧める。
翌日、冒険者ギルドで鑑定を行った結果、エマの腕輪は高い防御効果を持つことが判明。さらに彼女自身を鑑定すると、なんと「付与特化型聖女」であることが明らかになる。聖女が付与した魔道具は現実の力として強く発現するのだ。
価値がないと切り捨てられた人生は、ここでは確かな力となった。スペイラ帝国で、聖女エマの新しい人生が、静かに、そして輝かしく始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる