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第一章
第四十一部分
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「まだつま先だけだ!って、そんなことはどうでもいい。」
「じゃあ、現場マジドルのセンターはどうやって決まるのよ?」
「センターはノンキャリアがバトルを繰り返してようやく勝ち取るものだ。」
「すごく大変そうね。」
「話には続きがある。キャリアが現場に来ることを魔法少女省では、天下りという。ノンキャリアからマジドルのセンターになっていた者は、有無を言わさず、センターポジションを譲らなければならない。」
「なにそれ?じゃあ、ノンキャリアが散々苦労してゲットしたセンターをあっさり明け渡すっていうこと?」
「そうだ。だから、キャリアとノンキャリアの間には、職制上の差異だけでなく、感情的な対立が激しいんだ。千紗季は、そんな雲の上の争いとは無縁だろう。そもそも地上アイドル、つまりマジドルになるためには、人数の決まっているマジドルを破っていかなければならない。」
「それって、マジドルとバトルして、勝たないといけないっていうこと?」
「そうなるな。さっき見たステージ上で輝くマジドルに勝つなんて、何百年かかっても難しいぞ。棺桶を何万個作る必要があるかな?」
つかさは自分の部屋で、スマホ画像を見ていた。
そこにはひとりのオタク男子が映っていた。男子はマジドルのセンターをステージのかぶりつきでハチマキ付けて応援していた。
「やっぱり朋樹くんはこんなことをしてるね。でも、本当の気持ちはわかってるよ。ほら、ここにその証拠があるものね。」
朋樹のズボンのポケットにスマホが突っ込まれていて、ヲタ芸の激しい動きの最中に、落としていた。そこに映っていたのは地下ドルの千紗季の映像だった。横から撮影されたもので、明らかに盗撮画像であった。
「こんなもの、どうやって撮ったのかな。それはどうでもいいけど、・・いや全然よくない!それがすべての原因につながることだから。朋樹くんがそんな思いなら、あたしも最大やれることをやるしかないよ。これはもう決定事項だから。」
朋樹はいつものように、マジドルセンターの握手会の列に並んでいた。つかさはマジドル側の一番端っこにいた。並び方のランクは、大相撲の番付のように、真ん中が最上位で、そこから左右に広がるに連れて下がっていく。それはファンの列の長さにも比例している。天井から見下ろすと、センターが圧倒的に長く、富士山のように広がっている。
つかさの列は短いがそれなりにファンはいる。しかし、つかさの視線は真ん中列の一点に集中している。
恒例の館内放送が流れた。
『握手会にご来場頂きましてありがとうございます。お客様にお願い申し上げます。整理券の順番をお守り頂き、列を乱さぬようお願いいたします。』
いつもの何の変哲もない場内アナウンスであるが、全員がなんとなく聞き入っていた。
「チャンス!」
つかさは他人に聞こえないような小さな声を出し、瞬間的に朋樹のところに走り寄った。
『バコッ!』
前後に並ぶ人間には聞き取れないような衝撃音が朋樹の腹部を襲った。
『うわぁ!』
「じゃあ、現場マジドルのセンターはどうやって決まるのよ?」
「センターはノンキャリアがバトルを繰り返してようやく勝ち取るものだ。」
「すごく大変そうね。」
「話には続きがある。キャリアが現場に来ることを魔法少女省では、天下りという。ノンキャリアからマジドルのセンターになっていた者は、有無を言わさず、センターポジションを譲らなければならない。」
「なにそれ?じゃあ、ノンキャリアが散々苦労してゲットしたセンターをあっさり明け渡すっていうこと?」
「そうだ。だから、キャリアとノンキャリアの間には、職制上の差異だけでなく、感情的な対立が激しいんだ。千紗季は、そんな雲の上の争いとは無縁だろう。そもそも地上アイドル、つまりマジドルになるためには、人数の決まっているマジドルを破っていかなければならない。」
「それって、マジドルとバトルして、勝たないといけないっていうこと?」
「そうなるな。さっき見たステージ上で輝くマジドルに勝つなんて、何百年かかっても難しいぞ。棺桶を何万個作る必要があるかな?」
つかさは自分の部屋で、スマホ画像を見ていた。
そこにはひとりのオタク男子が映っていた。男子はマジドルのセンターをステージのかぶりつきでハチマキ付けて応援していた。
「やっぱり朋樹くんはこんなことをしてるね。でも、本当の気持ちはわかってるよ。ほら、ここにその証拠があるものね。」
朋樹のズボンのポケットにスマホが突っ込まれていて、ヲタ芸の激しい動きの最中に、落としていた。そこに映っていたのは地下ドルの千紗季の映像だった。横から撮影されたもので、明らかに盗撮画像であった。
「こんなもの、どうやって撮ったのかな。それはどうでもいいけど、・・いや全然よくない!それがすべての原因につながることだから。朋樹くんがそんな思いなら、あたしも最大やれることをやるしかないよ。これはもう決定事項だから。」
朋樹はいつものように、マジドルセンターの握手会の列に並んでいた。つかさはマジドル側の一番端っこにいた。並び方のランクは、大相撲の番付のように、真ん中が最上位で、そこから左右に広がるに連れて下がっていく。それはファンの列の長さにも比例している。天井から見下ろすと、センターが圧倒的に長く、富士山のように広がっている。
つかさの列は短いがそれなりにファンはいる。しかし、つかさの視線は真ん中列の一点に集中している。
恒例の館内放送が流れた。
『握手会にご来場頂きましてありがとうございます。お客様にお願い申し上げます。整理券の順番をお守り頂き、列を乱さぬようお願いいたします。』
いつもの何の変哲もない場内アナウンスであるが、全員がなんとなく聞き入っていた。
「チャンス!」
つかさは他人に聞こえないような小さな声を出し、瞬間的に朋樹のところに走り寄った。
『バコッ!』
前後に並ぶ人間には聞き取れないような衝撃音が朋樹の腹部を襲った。
『うわぁ!』
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