魔法少女は枕営業から始めなければならない

木mori

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第二章

第十九部分

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「今度、握手会特別謝恩会、通称謝恩会が開催されるよ。」
つかさがやや上気した顔で千紗季を見ている。
「つかさ、ちょっと興奮してるわね。その謝恩会って何?」
「これは特別なイベントだよ。よくあるお得意様限りの限定即売会ってヤツだよ。」
「お得意様?握手会に前日から並んでるようなキモイ連中のこと?」
「キモイ言うな!熱烈なファンと表現しなよ。これは特定のヘビーなファンの方だけが招待されるイベントなんだよ。招待される基準は、握手会への参加回数、CD、Blu-ray購入枚数、イベント参加率及び座席箇所、インターネットへの有効アクセス、握手会での会話内容、などが総合評価されて決められる。購入金額だと特定の金持ちや一点張りの客層にシフト・片寄りが生じるため、総合評価するシステムだよ。でも、何よりマジドルへの愛情が最大の評価ポイントで、その評価方法は極秘とされているんだよ。」
「へぇ。で、マジドルのアタシも参加するの?」
「今回は付き人1号2号としてだよ。現時点でマジドルの末席にいる立場では謝恩会対象には手が届かないよ。」
「ふ~ん、そうなんだ。」
少々残念そうな千紗季の脳裏には朋樹のことがよぎっていた。

「やった!ついに入手が超絶困難な魅惑のチケットをゲットしたぞ!」
朋樹は自分の部屋で有頂天になっていた。
朋樹のところに謝恩会招待状が送られてきたからである。メールではなく郵便であることが何より嬉しい。メールのように重さゼロに対して、郵便物で送られてくる物の重量感が情報価値を上げる時代になっている。
「いつもの握手会は30秒限定だし、周りにたくさんの邪魔者ライバルがいるけど、これは個室でほぼタイマン(笑)。」
朋樹の部屋中綾野のポスターだらけ。しかし、机には小さい頃に千紗季とじゃれあっている写真。それを見つめている朋樹。

そして謝恩会当日を迎えた。
魔法少女省の十階には30の個室があり、そこで謝恩会イベントが行われるが、何人のマジドルセンターが来ているのかは非公開である。しかも個々の部屋にはそれぞれにエレベーターがあり、他の部屋からは入れないし、中が見えないように設計されている。
千紗季とつかさは1015号室の前に立っていた。
「ファンの人はどうやって集まって来てるの?」
「そこにあるエレベーターを使うんだ。それは個室専用で、他の人間は乗ることができない。あくまで一回でひとり乗ることになっているからね。謝恩会には政界、財界のVIPなども名を連ねているんだよ。マジドルセンターはキャリア官僚で将来を嘱望されているのだから、そういう人たちがファン、というか、スポンサーになっていてもなんら不思議はないよ。」
「そんなもなのかなぁ。アタシはてっきりセンターへの一途な思いを遂げようとする熱烈なファンばかりかと思ってたけど。」
「もちろんそういう人たちもたくさんいるよ。ほらひとり来たよ・・・。」
つかさの目の動きが急停車した。
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