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第二章

第十八部分

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「戦う相手の意向も聞かず、勝手に始めちゃって。いったいどんな勝負なのよ。」
「安心せい。勝負内容は公明正大じゃ。『ゆりリンピック』という競技にするぞ。」
「「ゆりリンピック⁉」」
そのワードにいきり立つ憂果莉。その顔を見て、眉根を極度に寄せる凪河。
しかし、他に選択肢はなさげであり、凪河たちは追随する。

階段で降りると、ビルの中とは思えないような土のグラウンドが広がっていた。何時なのか、わからないが、太陽が煌々と輝いている。
「いったい、どこなのよ、ここは!」
「ワシの力で、これぐらいの空間を作るのは朝飯前じゃ。邪魔者がいないように、敢えて異空間を用意したぞい。」
見渡す限り、果てが見当たらない。グラウンドがどこまでも広がっている、いや宇宙空間のように、拡大したいるかのようでもある。
グラウンドには徒競走用の白線や、ジャンプ競技用の設備なども設置されていて、横に広がるスタンドまである。観覧席は数万人座れそうな勢いであるが、椅子の部分にはなぜかモヤがかかっており、人がいるのか、いないのか見えないが、歓声が聞こえる。
「邪魔者はいないって、言ってたのに、無数のギャラリーが存在するように感じられるわよ。」
「観客はいると言えばいるし、いないと言えばいないんじゃ。ワシの作る空間はなんでもありであり、何にもないと言うものじゃ。創造主とはそういうものよ。凡人には理解できぬし、理解する必要もないわ。ゆりリンピックは、古代ギリシャ時代から続く伝統を引き継いでおるからな。まずは競技用衣装に着替えるかのう。ほれ!」
るとの軽い掛け声とともに四人は変身した。そのまんまの体操服、上が白の半袖、下がブルマで、紅組・ロリキュアが赤いブルマ、白組ゆりキュアが黒いブルマである。
「ジーッ、ジーッ、ジーッ。」
憂果莉は器用にも同時三方向に視線を飛ばして、ミニスカロリスたちと凪河をガン見している。
「「「いやらしい~!」」」
憂果莉以外の三人が一斉に腕で腰の部分を押さえたが、ブルマなので特に隠す必要性はない。スケパンの条件反射である。
「はっ。そうじゃった。」「そうでちゅ。」「そうだわ。」
三人は同時に事態に気づき、平静を取り戻した。
「ご、ごほん。では、お待ちかねのゆりリンピックを開催致すのじゃ。パチパチパチ。では二人プレイ三本勝負じゃ。」
ひとりで軽くテンションを上げるると。
「二人プレイ⁉面倒くさいわ。」
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