魔法少女はダンプカー運転手？

第一章

第八部分

「高原。年齢のところには１８歳と書いてあるぞ。数字の８の所が擦りきれて６になったんだな。さっき個人データベース照合もしたが、たしかに１８歳だったから、この申込書は有効だな。」
「所長代理!?し、しかし。」
高原はマスクの中でモゴモゴと反論したが、教習所所長代理である五竜は完全スルーした。
「オレが確認したんだから、それでいいさ。」
「所長代理!?ガチャガチャ。」
高原はマスクの中で、金属部品をかき混ぜるような耳にひどく痛い雑音を出していた。
「なんだか釈然としないけど、わたし、受講できるのね。個人データベース照合って、いったいどうやったのかしら。」
「そんなことはどうでもいい。(データベースは２年後のものだが、それもどうでもいい。)」
五竜は()内の言葉を飲み込んで、受付フロアから消えた。

こうしてヴァーティの入校が決まって教習が開始された。
ヴァーティは一通りのオリエンテーションを受けたあと、乗用車に乗る。駐車場で教官が待っているので、その車に乗るように言われる。
「あれがわたしの乗るクルマ？小さい車から訓練していくんだわ。楽しみ過ぎて、かなりワクワクするわ。」
ヴァーティはスキップしながら駐車場まで歩いていった。しかし、教習の指導員が目に入った途端に、足が鉛になって動かなくなった。
「指導員の蒜山高原デス、よろしくデス。」
「あんた!?」
「メイド１号は立派な教官デス。オブシディアンさんをしごいてやるデス。ほら、挨拶が足りないです。背中の角度は４５度。バシッ。ガチガチ。」
紫色のムチをしばたいた高原。ムチの当たった先の地面の悲鳴が聞こえてきた。
同時にマスクの中で金属の擦り合う嫌な音がしている。