魔法少女はダンプカー運転手?

木mori

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第一章

第十二部分

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初日の教習がおわり、ヴァーティは宿所である女子寮にいた。
「ホテルだったはずなのに、どうしてこんなところに止まらなくちゃいけないの?」
新しくはないが、古くもない。ホテルではなく、女子寮だから、一般的にみればごく普通のレベルである。ヴァーティは三階建ての鉄筋コンクリート造りの、校舎のような建築物を見上げている。
ヴァーティの泊まるところは、一階の大部屋。体育館ぐらいの面積である。そこに大量発生したセミのようにマスクメイドが溢れかえっている。
時間帯的に就寝時間より早いため、布団は敷かれていないが、机もない場所で、ひとりひとりがメイド服の裁縫をしたり、タイヤの修理をしたり、取り外したとしか思えない車のバンドルやブレーキペダル、はたまた大きなシートまで持ち込んで、磨いたり、修理したりしている。
ヴァーティは空いた口が塞がらず、額から汗が流れ出した。
「ここって、まるで仕事場じゃない。人の住む世界なの?わっ!
「そんなに驚かないでくださいデス。」
音も気配もなく、高原がヴァーティの横に立っていた。
「格安コースを選択した以上、当然のことである。でもメイド1号たちはここで生活しているということを考えてほしいデス。」
そう言われると、出そうとしていた言葉を肺胞に詰まらせるヴァーティ。

「今日はかなり汗をかいたし、すぐにでもお風呂に入りたいわ。」
個室風呂は当然なく、大浴場である。
他の受講生で入寮者もいるはずだが、なぜかお風呂にはメイドばかり。ヴァーティは実家ではひとりで入浴していたので、大勢の裸に大きな戸惑いを感じていた。
「みんな恥ずかしくないのかしら。誰も前を隠してないわね。」
ヴァーティの言う通り、バスタオルでからだを覆っている者などいない。しかし、よく考えれば、テレビ撮影でもないのに、バスタオルを巻いて入浴するのは著しくマナー違反である。
ヴァーティも本来はからだを隠したかったが、回り全部が全開なので、やむを得ず同調した。しかし、ヴァーティはメイド集団に溶け込むことなく、見事に浮いてしまった。というのも、メイドたちは黒マスクを全員が着用しており、顔の区別がつかず、ヴァーティがひとり目立ってしまっていたからである。
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