20 / 76
第一章
第十九部分
しおりを挟む
「それは当然ですわ。内角には強いけど、外角はからっきしだめ。そういうクセをつけさせたのですから。それだけでなく、上半身があまり発達してないというからだの構造から、外角に弱いことを見抜いていました、打てないところを作るように鍛えましたわ。ほーほほほっ。」
「えええっ!や、優しいトモヨンさんがそんなひどいことを言うなんて、何かの間違いだよ!特に、上半身とか、上半身とは胸で、胸が弱点とか。」
「そこまでは言っておりませんけど。」
トモヨンはそう言いながら、折り鶴の首の部分を伸ばした。
「あっ!そういうことなんだ。」
美散は次の投球に対して、折り畳んだ腕を軽くほどいて、対処した。すると、せいぜいファールしかできなかったボールが、前に飛ぶようになった。
「口では厳しいこと言ってるけど、暗い森を照らしてくれる。やっぱりトモヨンさんは優しいんだ。」
「それはどうかな。仮面を被るのは、ライダーとガラス仮面女優だけじゃないんだぜ。」
キャッチャーのランボウが、眉間にシワを寄せながら笑顔で美散に言葉を飛ばした。
「ランボウちゃん、余計なことを言ってくれますわね。背中を押すのは時と場合を考えないと、大ケガしますわ。これでは、ちょこっと本気を出すしかありませんわ。」
トモヨンは、これまでの投球フォームはノーワインドアップだったが、ワインドアップに変えて、振りかぶって投げた。振りかぶった瞬間に、その勢いで猛烈な突風が吹いて、マウンドの土が平らになってしまった。
「あれ?なかなかボールが届かないよ。トモヨンさん、エア投球した?冗談大好き美人なんだね。あははは。」
美散はボールが自分の横を通過したことに気づかなかった。いや、あまりに速過ぎて、苦笑いして、気づかないフリをするしかなかったのである。
それから3球投げたが、美散の動体視力をはるかに上回る投球速度は変わらなかった。
これは美散のレギュラー昇格テストである。美散の顔からは血の気が引かれてしまった。
「どうして打ったらいいのかわからないよ。」
「打てなくて当たり前ですわ。基礎体力が足りないからです。レギュラーポジションは街で配られるティッシュではありませんわ。レギュラーを狙う者には、こうするのですわ!」
トモヨンは、首を伸ばしていた折り鶴の首を再び折った。さらに、もう一段折り曲げた。折り鶴はお詫びしているように見えた。
口元をJカーブにしているトモヨンを見て、ランボウがボソッと言った。
「エサだけ与えて蛇の生殺しにして苦しむ姿をビデオに撮るのが、トモヨンの趣味なんだよ。若鶏捌き、チキンprocessorの異名を頂いてるんだよ。」
「あのトモヨンさんがこんなことするなんて。きっと巨人軍に蔓延するチーム毒空気がそうさせたんだよ。巨人軍って、ヒドくて醜い世界だよ。これでは人間以下、いやはるかに未満だよ。」
「そりゃそうさ。人間じゃなくなったから、ここに送り込まれてるんだ。まともな神経を維持できるはずがない。あたいも前はもうちょっとはマシな神経をもってたがな。今は神経のシナプスは千切れてしまったよ。」
自嘲するしかないランボウだった。
「えええっ!や、優しいトモヨンさんがそんなひどいことを言うなんて、何かの間違いだよ!特に、上半身とか、上半身とは胸で、胸が弱点とか。」
「そこまでは言っておりませんけど。」
トモヨンはそう言いながら、折り鶴の首の部分を伸ばした。
「あっ!そういうことなんだ。」
美散は次の投球に対して、折り畳んだ腕を軽くほどいて、対処した。すると、せいぜいファールしかできなかったボールが、前に飛ぶようになった。
「口では厳しいこと言ってるけど、暗い森を照らしてくれる。やっぱりトモヨンさんは優しいんだ。」
「それはどうかな。仮面を被るのは、ライダーとガラス仮面女優だけじゃないんだぜ。」
キャッチャーのランボウが、眉間にシワを寄せながら笑顔で美散に言葉を飛ばした。
「ランボウちゃん、余計なことを言ってくれますわね。背中を押すのは時と場合を考えないと、大ケガしますわ。これでは、ちょこっと本気を出すしかありませんわ。」
トモヨンは、これまでの投球フォームはノーワインドアップだったが、ワインドアップに変えて、振りかぶって投げた。振りかぶった瞬間に、その勢いで猛烈な突風が吹いて、マウンドの土が平らになってしまった。
「あれ?なかなかボールが届かないよ。トモヨンさん、エア投球した?冗談大好き美人なんだね。あははは。」
美散はボールが自分の横を通過したことに気づかなかった。いや、あまりに速過ぎて、苦笑いして、気づかないフリをするしかなかったのである。
それから3球投げたが、美散の動体視力をはるかに上回る投球速度は変わらなかった。
これは美散のレギュラー昇格テストである。美散の顔からは血の気が引かれてしまった。
「どうして打ったらいいのかわからないよ。」
「打てなくて当たり前ですわ。基礎体力が足りないからです。レギュラーポジションは街で配られるティッシュではありませんわ。レギュラーを狙う者には、こうするのですわ!」
トモヨンは、首を伸ばしていた折り鶴の首を再び折った。さらに、もう一段折り曲げた。折り鶴はお詫びしているように見えた。
口元をJカーブにしているトモヨンを見て、ランボウがボソッと言った。
「エサだけ与えて蛇の生殺しにして苦しむ姿をビデオに撮るのが、トモヨンの趣味なんだよ。若鶏捌き、チキンprocessorの異名を頂いてるんだよ。」
「あのトモヨンさんがこんなことするなんて。きっと巨人軍に蔓延するチーム毒空気がそうさせたんだよ。巨人軍って、ヒドくて醜い世界だよ。これでは人間以下、いやはるかに未満だよ。」
「そりゃそうさ。人間じゃなくなったから、ここに送り込まれてるんだ。まともな神経を維持できるはずがない。あたいも前はもうちょっとはマシな神経をもってたがな。今は神経のシナプスは千切れてしまったよ。」
自嘲するしかないランボウだった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】ヤンデレ乙女ゲームの転生ヒロインは、囮を差し出して攻略対象を回避する。はずが、隣国の王子様にばれてしまいました(詰み)
瀬里@SMARTOON8/31公開予定
恋愛
ヤンデレだらけの乙女ゲームに転生してしまったヒロイン、アシュリー。周りには、攻略対象のヤンデレ達が勢ぞろい。
しかし、彼女は、実現したい夢のために、何としても攻略対象を回避したいのだ。
そこで彼女は、ヤンデレ攻略対象を回避する妙案を思いつく。
それは、「ヒロイン養成講座」で攻略対象好みの囮(私のコピー)を養成して、ヤンデレたちに差し出すこと。(もちろん希望者)
しかし、そこへ隣国からきた第五王子様にこの活動がばれてしまった!!
王子は、黙っている代償に、アシュリーに恋人契約を要求してきて!?
全14話です+番外編4話
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
【完結】侍女が王女に転生?!英雄と結婚して破滅の国を救います!
カナタカエデ
ファンタジー
八十歳で生涯を終えた、元王宮侍女カリナ。
その最期の瞬間――枕元に、かつて仕えた王女アメリアが現れた。
「お願い…私の人生をやり直して。国を、私を、救って――」
次に目を開くと、カリナは十八歳の“王女アメリア”として転生していた。
彼女は知っている。
このままでは王国は滅び、愛する主君が破滅する未来を。
未来を変えるため、アメリアは
冷徹と噂される英雄ヴァルクとの政略結婚を選ぶ。
これは、かつて守れなかった主人のための転生。
そのはずなのに――彼への想いは、気づけば変わり始めていた。
王女と英雄が紡ぐ、破滅回避ラブファンタジー開幕。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
挿絵はA I画像を使用
10/20 第一章完結
12/20 第二章完結
2/16 第三章完結
他サイト掲載
(小説家になろう、Caita)
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました
小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。
しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!?
助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、
「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。
幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。
ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく!
ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
【第一章】狂気の王と永遠の愛(接吻)を
逢生ありす
ファンタジー
女性向け異世界ファンタジー(逆ハーレム)です。ヤンデレ、ツンデレ、溺愛、嫉妬etc……。乙女ゲームのような恋物語をテーマに偉大な"五大国の王"や"人型聖獣"、"謎の美青年"たちと織り成す極甘長編ストーリー。ラストに待ち受ける物語の真実と彼女が選ぶ道は――?
――すべての女性に捧げる乙女ゲームのような恋物語――
『狂気の王と永遠の愛(接吻)を』
五大国から成る異世界の王と
たった一人の少女の織り成す恋愛ファンタジー
――この世界は強大な五大国と、各国に君臨する絶対的な『王』が存在している。彼らにはそれぞれを象徴する<力>と<神具>が授けられており、その生命も人間を遥かに凌駕するほど長いものだった。
この物語は悠久の王・キュリオの前に現れた幼い少女が主人公である。
――世界が"何か"を望んだ時、必ずその力を持った人物が生み出され……すべてが大きく変わるだろう。そして……
その"世界"自体が一個人の"誰か"かもしれない――
出会うはずのない者たちが出揃うとき……その先に待ち受けるものは?
最後に待つのは幸せか、残酷な運命か――
そして次第に明らかになる彼女の正体とは……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる