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第二章
第十三部分
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「本当の体重を彫り物背中に言うわけにはいかないわ。女の子として、それは死んでもやってはいけないわ!」
「外人ガ、イクラ開放的ト言ッテモ、デキナイコトガ、アリマス!」
ふたりともシャコ貝のように口を閉じてしまった。
「よし、腹は決まったようだな。それでは俺の腹と背中に抱きついてくれ。」
「ワタクシがハラキリシマス。」
「アタシが腹わたの中身を取るわよ。」
玲駆の背中は不人気であった。抱かれ心地の違いなのかどうかは不明である。
結局、ジャンケンで智流美がおいしい方をゲットして、ルンルン気分に浸っていた。
「よし、この態勢で橋を渡るぞ。ぜったいに、手を離すなよ。」
「こんないい感触、完食するまで離さないわよ。スリスリ。」
「背中ハ、オイシクナイカト思イマシタガ、コノゴツゴツ感ガ、癖ニナリソウデス。スリスリ。」
「く、くすぐったい!でも俺も不必要な動きをすると、ふたりを離してしまうから、我慢だ。」
ブルブル震えながら、橋の下にぶら下がった玲駆。
「重い!いくらふたりとは言え、女の子って、こんなに重かったっけ?うわーっ、落ちる!!」
「飛行魔法を使うしかないわ!」
「飛翔魔法ヲ実行スルデス!」
「からだが急に軽くなったぞ!」
ふたりは口から大量の空気を吐いたのである。肺活量は膨大なものがあるから、ふたりで三人分(圧倒的重量シェアは女子ふたり)を持ち上げるのは容易であり、そのまま橋の下をしっかりと渡り、見事に池を越えた。
「助かった。しかし、今の揚力はいったいなんだったんだ?」
「「ヒューヒュー。」」
ふたりは素知らぬ顔で口笛を吹いていた。なんとなく、それまでのギスギスした空気とは違う雰囲気が流れていた。
こうして、洞穴の出口までやってきた三人。
しかし、ここにも立札があった。
『これで最後である。三人同時ここに来れたことは奇跡である。しかし、この中日山に伝わる伝説をクリアするためには、ここでカップルを形成する必要がある。つまり、脱出できるのは、ふたりである。ここでは工作は無用である。残されるひとりは、リア充を妨害しても可。』
「これは俺にどちらかを選べということなのか。」
ふたりは黙って頷いた。
「さっきは何かよくわからないけど、到底俺の力ではどうしようもなかったはずだ。ふたりに助けられたような気がする。そんな中で、俺にできるわけない。ふたりで話し合って決めてくれ。ゲタは預けるよ。」
ふたりは顔を見合わせたがすぐに下を向いた。
「外人ガ、イクラ開放的ト言ッテモ、デキナイコトガ、アリマス!」
ふたりともシャコ貝のように口を閉じてしまった。
「よし、腹は決まったようだな。それでは俺の腹と背中に抱きついてくれ。」
「ワタクシがハラキリシマス。」
「アタシが腹わたの中身を取るわよ。」
玲駆の背中は不人気であった。抱かれ心地の違いなのかどうかは不明である。
結局、ジャンケンで智流美がおいしい方をゲットして、ルンルン気分に浸っていた。
「よし、この態勢で橋を渡るぞ。ぜったいに、手を離すなよ。」
「こんないい感触、完食するまで離さないわよ。スリスリ。」
「背中ハ、オイシクナイカト思イマシタガ、コノゴツゴツ感ガ、癖ニナリソウデス。スリスリ。」
「く、くすぐったい!でも俺も不必要な動きをすると、ふたりを離してしまうから、我慢だ。」
ブルブル震えながら、橋の下にぶら下がった玲駆。
「重い!いくらふたりとは言え、女の子って、こんなに重かったっけ?うわーっ、落ちる!!」
「飛行魔法を使うしかないわ!」
「飛翔魔法ヲ実行スルデス!」
「からだが急に軽くなったぞ!」
ふたりは口から大量の空気を吐いたのである。肺活量は膨大なものがあるから、ふたりで三人分(圧倒的重量シェアは女子ふたり)を持ち上げるのは容易であり、そのまま橋の下をしっかりと渡り、見事に池を越えた。
「助かった。しかし、今の揚力はいったいなんだったんだ?」
「「ヒューヒュー。」」
ふたりは素知らぬ顔で口笛を吹いていた。なんとなく、それまでのギスギスした空気とは違う雰囲気が流れていた。
こうして、洞穴の出口までやってきた三人。
しかし、ここにも立札があった。
『これで最後である。三人同時ここに来れたことは奇跡である。しかし、この中日山に伝わる伝説をクリアするためには、ここでカップルを形成する必要がある。つまり、脱出できるのは、ふたりである。ここでは工作は無用である。残されるひとりは、リア充を妨害しても可。』
「これは俺にどちらかを選べということなのか。」
ふたりは黙って頷いた。
「さっきは何かよくわからないけど、到底俺の力ではどうしようもなかったはずだ。ふたりに助けられたような気がする。そんな中で、俺にできるわけない。ふたりで話し合って決めてくれ。ゲタは預けるよ。」
ふたりは顔を見合わせたがすぐに下を向いた。
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