進芸の巨人は逆境に勝ちます!

木mori

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第二章

第二十七部分

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「うえ~ん。巨人軍なんてツラいだけですっ~!」
ナッキーは言うまでもなく泣きモードに突入していた。両軍ベンチにも灰色の雲が立ち込めていた。
「巨人軍は病気でデカくなってるから、いつか治る可能性がある。しかし半巨人は遺伝だから、人間になることはない。魔法工房の薬物で一時的に人間大になれるだけ。それも使用回数に制限がある。いつか薬が効かなくなってしまう。ヤツらはあたいたちをうらやましく思っているから、恨み、妬みの牙を巨人軍に剥いてるのさ。半巨人はこの前の試合では押さえていたけど、今度は本気でかかってくるぜ。」
『ボク、ドラエロ悶。プレイボーイ!』
どこから見ても非イケメンロボットが試合開始を宣言して、ピッチャーのランボウは全力投球した。
トップバッターは三振で瞬殺された。
二番はロングスカートをひらひらさせたエロザである。そのエレガントな姿とは似つかわしくない奇妙なバットを手にしている。グリップが太く円筒形で、先の方が円錐形に尖っている。さらに異形なのは、円錐の左右に、クレーターのような窪みのある円形皿が付いていることである。
「あれって、けん玉じゃない。反則だよ!」
ベンチで興奮している美散に対して、ランボウは冷静だった。
「いいや、あれはルール内だ。もしアウトなら、審判がグラウンドへの持ち込みを許していない。」
『タラ~。』
ドラエロ悶は、よだれを垂らして、スカートの裾をかなり上げたエロザの絶対領域に、すっかり魅了されている。
「相手がどんな武器を使おうとも、こちらの豪速球には通用しないさ。」
ランボウは高く足を上げて、力の限りの球を投げ込んだ。
『コツン、コツン』という軽い音がして、『ドスン、ドスン』という重たい地響きを立てて走り、エロザは一塁ベースに立っていた。
「あれ?いつの間にか内野安打になってる。いったいどういうこと?」
「これはスロービデオでの解説が必要だな。」
スコアボードに先ほどのエロザのバッティングが大きく映された。
「何あれ?けん玉、じゃなくてバットに二回当ててるよ。最初に左の窪みに当てて、上に上がった打球を右の窪みに乗せて、それを放り投げてるよ。これって、二度バットでアウトじゃない?」
またも正しいルールを述べる美散。
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