74 / 76
第二章
第三十七部分
しおりを挟む
バッターボックスに立ったランボウは、エロザの言葉に真っ向から対抗した。
「あたいには、そんな脅しは通用しないぞ。キャプテンなんだからなっ!」
一番ランボウは全力で打つ気満々である。
「やめて~!」
美散の声に押されて、中途半端な打撃。あたりそこねのヒット。というより、わざとセーフにしたエロザは次のバッターを指名した。わざとセーフにした場合、相手から一度指名できるシステム。『指名代打』と呼ばれている。
エロザは左手を巨人軍ベンチに向けた。
「アナタガ、取リ戻シタイモノハ、ワカッテマスヨネ?星ニ手ガ届キソウダト思ウノハ、タダノ幻想、妄想デス。」
「むむむ。そんなことない!どんなに遠くてもいつか掴むことはできるんだよ。愛の広がりは、宇宙を遥かに超えるんだから。」
「無駄ニ強気ヲ標榜シテモ、打ツノハ、コレダトイウ事ヲ、オ忘レニナラナイヨウニ。」
エロザは右手に握り締めたスケルトンボールを美散に示した。
こうして代打美散登場となったが、美散の顔色は曇りを超えてすでに雨天状態である。
「あの中にはレイちゃんが入ってるんだよ。それを打てるわけないよ。」
美散はバットを持つ手が震えていた。
「負けたら、玲駆譲りの調印式だぞ!」
一塁からランボウは強い調子で、美散をけしかけた。
「そ、そうだね。ぜ、全力で軽打するよ。」
矛盾に代わる新たな四字熟語、全力軽打を作った美散。
「衝撃ノ少ナイ、バッティングヲシヨウト、シテルンデショウガ、僧ハ、ウマク、逝キマセンヨ。コノ一球デ、婚姻ノ権利ヲ奪取シマス!」
エロザは、剛球を投げてきた。球の威力に対抗するためには、かなりのパワーが必要となる。
「無理、無理、無理~!」
美散が叫んだ時、ボールから声が聞こえた。
「俺のことは気にするな。全力で戦え。これは真剣勝負のスポーツなんだぞ!」
「そんなことできないよ。まともにバット振ったら、レイちゃんは確実に死んじゃうよ!」
「そんなことはない。俺は富士見の玲駆だ!」
「こんな時に、富士山見物?レイちゃんはただの人間だよ。レイちゃんを殺すなんて、あたしにできるわけないじゃない!」
「いいから打つんだ!俺の言うことが信じられないのか?お前は好きな男の声に傾ける耳を持っていないのか!」
「あたいには、そんな脅しは通用しないぞ。キャプテンなんだからなっ!」
一番ランボウは全力で打つ気満々である。
「やめて~!」
美散の声に押されて、中途半端な打撃。あたりそこねのヒット。というより、わざとセーフにしたエロザは次のバッターを指名した。わざとセーフにした場合、相手から一度指名できるシステム。『指名代打』と呼ばれている。
エロザは左手を巨人軍ベンチに向けた。
「アナタガ、取リ戻シタイモノハ、ワカッテマスヨネ?星ニ手ガ届キソウダト思ウノハ、タダノ幻想、妄想デス。」
「むむむ。そんなことない!どんなに遠くてもいつか掴むことはできるんだよ。愛の広がりは、宇宙を遥かに超えるんだから。」
「無駄ニ強気ヲ標榜シテモ、打ツノハ、コレダトイウ事ヲ、オ忘レニナラナイヨウニ。」
エロザは右手に握り締めたスケルトンボールを美散に示した。
こうして代打美散登場となったが、美散の顔色は曇りを超えてすでに雨天状態である。
「あの中にはレイちゃんが入ってるんだよ。それを打てるわけないよ。」
美散はバットを持つ手が震えていた。
「負けたら、玲駆譲りの調印式だぞ!」
一塁からランボウは強い調子で、美散をけしかけた。
「そ、そうだね。ぜ、全力で軽打するよ。」
矛盾に代わる新たな四字熟語、全力軽打を作った美散。
「衝撃ノ少ナイ、バッティングヲシヨウト、シテルンデショウガ、僧ハ、ウマク、逝キマセンヨ。コノ一球デ、婚姻ノ権利ヲ奪取シマス!」
エロザは、剛球を投げてきた。球の威力に対抗するためには、かなりのパワーが必要となる。
「無理、無理、無理~!」
美散が叫んだ時、ボールから声が聞こえた。
「俺のことは気にするな。全力で戦え。これは真剣勝負のスポーツなんだぞ!」
「そんなことできないよ。まともにバット振ったら、レイちゃんは確実に死んじゃうよ!」
「そんなことはない。俺は富士見の玲駆だ!」
「こんな時に、富士山見物?レイちゃんはただの人間だよ。レイちゃんを殺すなんて、あたしにできるわけないじゃない!」
「いいから打つんだ!俺の言うことが信じられないのか?お前は好きな男の声に傾ける耳を持っていないのか!」
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦
未羊
ファンタジー
気が付くとまん丸と太った少女だった?!
痩せたいのに食事を制限しても運動をしても太っていってしまう。
一体私が何をしたというのよーっ!
驚愕の異世界転生、始まり始まり。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
悪役令嬢と弟が相思相愛だったのでお邪魔虫は退場します!どうか末永くお幸せに!
ユウ
ファンタジー
乙女ゲームの王子に転生してしまったが断罪イベント三秒前。
婚約者を蔑ろにして酷い仕打ちをした最低王子に転生したと気づいたのですべての罪を被る事を決意したフィルベルトは公の前で。
「本日を持って私は廃嫡する!王座は弟に譲り、婚約者のマリアンナとは婚約解消とする!」
「「「は?」」」
「これまでの不始末の全ては私にある。責任を取って罪を償う…全て悪いのはこの私だ」
前代未聞の出来事。
王太子殿下自ら廃嫡を宣言し婚約者への謝罪をした後にフィルベルトは廃嫡となった。
これでハッピーエンド。
一代限りの辺境伯爵の地位を許され、二人の幸福を願ったのだった。
その潔さにフィルベルトはたちまち平民の心を掴んでしまった。
対する悪役令嬢と第二王子には不測の事態が起きてしまい、外交問題を起こしてしまうのだったが…。
タイトル変更しました。
ブラック・スワン ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~
碧
ファンタジー
「詰んだ…」遠い眼をして呟いた4歳の夏、カイザーはここが乙女ゲーム『亡国のレガリアと王国の秘宝』の世界だと思い出す。ゲームの俺様攻略対象者と我儘悪役令嬢の兄として転生した『無能』なモブが、ブラコン&シスコンへと華麗なるジョブチェンジを遂げモブの壁を愛と努力でぶち破る!これは優雅な白鳥ならぬ黒鳥の皮を被った彼が、無自覚に周りを誑しこんだりしながら奮闘しつつ総愛され(慕われ)する物語。生まれ持った美貌と頭脳・身体能力に努力を重ね、財力・身分と全てを活かし悪役令嬢ルート阻止に励むカイザーだがある日謎の能力が覚醒して…?!更にはそのミステリアス超絶美形っぷりから隠しキャラ扱いされたり、様々な勘違いにも拍車がかかり…。鉄壁の微笑みの裏で心の中の独り言と突っ込みが炸裂する彼の日常。(一話は短め設定です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる